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ロシア国立サンクトペテルブルク大学アメリカ研究科のグリゴリー・ヤルィギン助教授は、円が安定していないとすれば、1軍通貨とも言えるドルとユーロの周辺でのみだとの見方を示した。
「日本円には多くの国の準備金が結びついており、日本との経済的つながりはアジア太平洋地域において安定している。円が近いうちに大幅に悪化するという『あからさまな兆候』が仮にあれば、それはすでに経済的指標に現れ、証券取引所および日本企業の株価に反映していただろう。そんなことは全くない。さらに、日本経済は米国経済と密接に関係している。パートナー諸国との経済関係のオーバーシュートに対するトランプ米大統領の強硬なレトリックにかかわらず、日本政府は米国政府の新たな対外貿易ラインに順応を続けている。また、米国の景気後退が近い将来に起きる恐れはまずない。ここから、日本経済に急変が起きることは一切ないと考えることができる。いずれにせよ、円の崩壊といった急激なことはない。そのうえ、円安は日本からの輸出増にプラスになる」
もう1つの懸念として、10日間のゴールデンウィーク中、投機的取引による急激な円高ドル安がある。つまり、先の懸念とは反対に、日本政府が近年力を入れているように円高になるということだ。
ヤルィギン氏はこれに対し、日本政府がこの理由から緊急時に操作可能な余地を準備しているはずだと断言した。
さらにヤルィギン氏は、今回は時期が日本の側に立っていると指摘する。
「深刻な経済危機の大半は春ではなく、8月近くに起きていた。8月、諸国は年間の債務を支払う必要があるためだ。この春、金融市場で乱気流は予測されていない。むしろ、貿易戦争のさなかにある米中は今、夏まで一時停止をかけるだろう。そしてこの出来事は多くの点で世界経済にとっての事実形成プロセスになる」
もう1つの政治経済的大イベントと言えば、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)だ。英国が痛みを伴うブレグジットを容易に通り過ぎることはできておらず、次の進展の予測は難しい。だがヤルィギン氏は、日本と円に間接的にでも影響することは間違いないと見ている。
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