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1957〜75年の集中的な宇宙開発競争時代にはイデオロギー対立していた米ソが最短期間で技術的に困難な数々のプロジェクトを(初めて!)実現していた。だが今日では、課題解決にはより多くの時間を要している。この20年間で実現したプロジェクトの数を比較して見れば、そう確信できる。
さらに厳しい運命に襲われたのが、ソ連崩壊を受けたロシア宇宙産業だ。ロシアは難しい経済状況に陥り、もはやロシア領ではない領域も含む各地に集中していたメーカーは完全に崩壊する運命にあった。
ロシア国営宇宙企業「ロスコスモス」もこの数年は苦難の年だった。対露制裁だけでなく、米民間企業をはじめとする競合他社の大成功が原因だ。ロシアで2025年までの連邦宇宙プログラムの予算が大幅カットされる一方、米国では再使用型ロケット打ち上げが繰り返し成功し、ロシア製宇宙船「ソユーズ」に代わる宇宙船のテストを続けている。将来的に、米国はロシア製ロケットエンジン「RD-180」も自国製に置き換える計画だ。
しかも2016年からロシアは衛星打ち上げ数で中国と米国に越され、第3位に甘んじている。
露米は政治的な意見の不一致を持ちながら宇宙分野で協力を続けるのか。これはアクチュアルな問題だ。国際宇宙ステーション(ISS)退役後の計画は依然として明らかではない。諸専門家は、ISSの活動は延長可能だろうとして、2024年ではなく30年まで稼働すると見ている。ロシアは一方、3モジュールからなるロシア側セグメントをISSから分離し、それをベースにロシア単独の宇宙ステーション構築を検討している。
火星への飛行を語るのは時期尚早だ。ゲートウェイ計画は火星行きに不可欠な中間段階だ。ヒトが月の環境に順応するにも時間がかかる。遠い過去の成果を技術的に再現する、つまり月面へ人類が舞い戻るためにどれほどの資源が必要かは言うまでもない。
今日は、困難に関わらず宇宙開発は続ける必要があり、達成した水準で留まってはいけないということを理解することが、何時になく重要だ。私達の生活を変えうる更なる大発見は、世界的視野で非凡な考えができる者を待っている。ガガーリンならそうした意欲を評価しただろう。
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