世界宇宙飛行の日 私達が今日ガガーリンに伝えるべきことはあるか

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1961年4月12日に人類初の宇宙飛行をソ連の飛行士、ユーリ・ガガーリンが成し遂げてから60年近く経った。偉大な発見と集中的な宇宙開発競争の時代は過ぎ去った。そしてイーロン・マスクやジェフ・ベゾスのような時代の寵児に関わらず、今日の宇宙開発は総じて、テンポを落として進んでいる。宇宙を心から愛する人々が気にかけるのは、半世紀後の今、私たちはガガーリンに伝えるべきことがあるのか、ということだ。

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1957〜75年の集中的な宇宙開発競争時代にはイデオロギー対立していた米ソが最短期間で技術的に困難な数々のプロジェクトを(初めて!)実現していた。だが今日では、課題解決にはより多くの時間を要している。この20年間で実現したプロジェクトの数を比較して見れば、そう確信できる。

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ガガーリンの微笑 冷戦時代の「ソフトパワー」
理由は無数にある。だが大きな理由としては、開発競争終了時に諸国が、巨額の宇宙開発費をこれ以上潤沢には使えないと認識したうえ、冷戦終結を受けて活発な対立の意味が失われたことがある。そのため現在の米国では、民間企業が大きな役割を果たし始めている。だがその企業も様々な困難に直面している。最大の難所は、実質的にゼロから複雑な生産を組織し、退役した「アポロ」「チャレンジャー」「スペースシャトル」に代わる新たな宇宙船を開発する必要があったことだ。

さらに厳しい運命に襲われたのが、ソ連崩壊を受けたロシア宇宙産業だ。ロシアは難しい経済状況に陥り、もはやロシア領ではない領域も含む各地に集中していたメーカーは完全に崩壊する運命にあった。

ロシア国営宇宙企業「ロスコスモス」もこの数年は苦難の年だった。対露制裁だけでなく、米民間企業をはじめとする競合他社の大成功が原因だ。ロシアで2025年までの連邦宇宙プログラムの予算が大幅カットされる一方、米国では再使用型ロケット打ち上げが繰り返し成功し、ロシア製宇宙船「ソユーズ」に代わる宇宙船のテストを続けている。将来的に、米国はロシア製ロケットエンジン「RD-180」も自国製に置き換える計画だ。

21世紀、初の月面着陸は果たして日本人か? - Sputnik 日本
21世紀、初の月面着陸は果たして日本人か?
中国も成果を上げている。今年1月、史上初めて月の裏側に中国の無人探査機が着地した。

しかも2016年からロシアは衛星打ち上げ数で中国と米国に越され、第3位に甘んじている。

露米は政治的な意見の不一致を持ちながら宇宙分野で協力を続けるのか。これはアクチュアルな問題だ。国際宇宙ステーション(ISS)退役後の計画は依然として明らかではない。諸専門家は、ISSの活動は延長可能だろうとして、2024年ではなく30年まで稼働すると見ている。ロシアは一方、3モジュールからなるロシア側セグメントをISSから分離し、それをベースにロシア単独の宇宙ステーション構築を検討している。

バズ・オルドリン宇宙飛行士、月で - Sputnik 日本
2024年までに「どんな犠牲を払っても」月に米国宇宙飛行士を  トランプ大統領が要求
しかし関係維持の期待はそれでも残っている。ロシア、米国、欧州、カナダ、日本は野心的なプロジェクト「Gateway(ゲートウェイ)」で、月周回軌道上に宇宙ステーションを建築することを協議している。ロシアに提案される作業量は欧米に比べ大きくない。米宇宙船「オリオン」とドッキングする接続機構とエアロックを備えた小型モジュールの作成だ。ロシアが同ステーションに宇宙飛行士1人を打ち上げる権利を割り当てられることは保証されている。その一方でロスコスモスのロゴジン長官は「プロジェクトで2番手になることが許せなければ」不参加もあり得ると述べた。ロゴジン氏は「ステーションがロシアのものかか、国際的なものになるかを協議が決定する」との認識を示した。

火星への飛行を語るのは時期尚早だ。ゲートウェイ計画は火星行きに不可欠な中間段階だ。ヒトが月の環境に順応するにも時間がかかる。遠い過去の成果を技術的に再現する、つまり月面へ人類が舞い戻るためにどれほどの資源が必要かは言うまでもない。

今日は、困難に関わらず宇宙開発は続ける必要があり、達成した水準で留まってはいけないということを理解することが、何時になく重要だ。私達の生活を変えうる更なる大発見は、世界的視野で非凡な考えができる者を待っている。ガガーリンならそうした意欲を評価しただろう。

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(編集部の意見は記事執筆者と必ずしも一致するものではありません。)

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