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北朝鮮がロシアにとって、また中国、日本にとっても容易い相手であったことは一度もなく、そしてこれは今も変わりない。金正恩氏は政権の座について8年間たつが、この間にプーチン大統領と顔を合わせたことは一度もない。ただしトランプ米大統領とは2度、中国、韓国の指導者らとは数度会っている。このため何がロシアの首脳との会談を阻害したのかは全く分からない。
北朝鮮側は、驚くほど短期間で作られた核ミサイル、そして北朝鮮指導部の揺るぎない姿勢こそが、北朝鮮の安全を保証するだけでなく、北朝鮮が北東アジアにおいて、また全世界において同等の権力を持ち、影響力のあるプレーヤーであることを世界中に知らしめる土台になったと未だに信じ切っている。
今、北朝鮮は外交政策で新たな路線を構築している。この国には若いながらも、手腕のある指導者がいる。この人物は政治家としては高い国際的レベルにあり、最新の進歩的視点も持ち合わせている。彼は軍事政治状況が急激に悪化するという困難な条件の中で自国のためだけでなく、本質的には全世界のために平和を守り抜くことができた。
どうやら金正恩氏はこうした立場から、自分としてはあらゆる意味で同等にあると考えているロシア指導部との対話を行いたいと考えているらしい。
今、金正恩氏がロシアを訪問しようとしているということは、つまり朝鮮問題、ひいては国際問題全体におけるロシアの役割と意味を理解しているということになる。
ロシア側は北朝鮮の主権と同権を認めてはいるものの、自国の国境に新たな核保有国が出現し、その指導者が厳しい口調でのぞんでいることには感心していない。一方でロシアも、自国付近に配備されている米国の核攻撃力からも、また米韓の統一軍部隊からも脅威を味わっている北朝鮮に理解は示している。
最も重要なのは、朝鮮問題を解決する上で合目的的なのが、より広範かつ多方面的な対話であるということを北朝鮮指導部が認識するよう、ロシアがもっていかねばならないことだ。いかんせん北朝鮮に安全を保証できるのは、最後は中国とロシアだけだ。何としても北東アジアの安全保障を多方向的に合意し、その中に北朝鮮の安全保証を固定しておく必要がある。
これがうまく運ぶかどうかは予測は難しい。だがこの首脳会談の結果次第でロシアの対米関係、対中、対日関係には新しい風が通り、プーチン・金会談準備でざらついた側面も和らぐかもしれない。
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