免許の返納 高齢運転者に必要な心の踏ん切りを「卒業旅行」で

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高齢者だから、危ないからと言われても運転免許を返納するのはそう簡単なことではない。どうやって親を説得しよう、自分は何をもって運転歴にピリオドを打てばいいのか。こう悩む人に向けて作られたと思える動画をNEXCO東日本がYouTubeに投稿した。

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動画『父と母の卒業旅行 ~The Last Long Drive~』に出てくる人たちは俳優ではなく、実際の家族。ここに出てくる78歳の男性の場合も自分で免許返納を言い出したわけではない。運転歴48年でまだまだ自分は大丈夫だと心の中でも思う父親は娘から、ドキリとする場面があったと図星を刺される。家族のいたわりの気持ちから免許返納の前に夫婦水入らずで「卒業旅行」に行く提案が出される。

寡黙な男性は旅の中でもう若くない自分を見つめ、徐々に決断へと向かう。そして旅行の最終日、思いがけない、家族の手作り「卒業式」が待っていた。今までいろんな場所に連れて行ってくれた父親にみんなが感謝。そして妻から心のこもった感謝の手紙が読み上げられ、「運転卒業証書」が手渡された。

「お父さんと一緒に旅するのがこれで最後かと思うととても寂しい感じです。きっとお父さんは私以上に寂しさを感じていることでしょうね。」

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男性が聞きたかったのはこうした家族の感謝といたわりと、同じ寂しさを味わう共感だったのではないか。男性は泣きながら妻を抱きしめ、家族に心から感謝を表し、免許返納を約束した。動画は、高齢者が免許を手放すにはきちんとした心の通過儀礼が必要だとつくづく思わせる。

4月19日、池袋で87歳の高齢者ドライバーが起こした事故。幼い娘を連れた女性をひき殺し、8人に重軽傷を負わせた事故は多くの人の記憶から去らない。多くの人が懸念しながら、起きなければいいがと思っていたことが起こった。

日本の警察庁の発表によれば、昨2018年、高齢者による運転免許証の任意返納が記録的な数字となった。それでもこうした事故は起きた。

弁護士ドットコムのニュースサイトによれば、いわゆる後期高齢者と言われる75歳の分水嶺は、瞬時の判断能力が要される運転に明確な差を示している。75歳以下と以上の交通事故を件数を比較すると、後期高齢者の事故は免許人口10万人あたりの件数が2倍以上も違うからだ。判断力の鈍さはいかにしても埋めようがない。

なにをきっかけに免許返納のふんぎりをつけるか。この動画は、家族で話し合い、いたわりを伝えるきっかけになるのではないだろうか。

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