日米安保破棄に関するトランプ氏の突飛な発言:その裏にあるものとは?

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25日、米国の通信社ブルームバーグは、トランプ米大統領が日米安全保障条約について、その合理性を疑い始めており、その内容は米国にとって不公平なものだと考えている、という記事を掲載した。記事では、沖縄の普天間飛行場を県内の別の場所に移転することに関して不満を示し、日本にその金銭的補償を求める可能性についても触れられている。スプートニクはロシアの専門家に、この記事の内容とその現実性についてコメントを求めた。

スプートニク日本

同記事によれば、トランプ氏は日米安保条約について、日本が攻撃されれば米国が援助することを約束しているが、米国が攻撃された場合に日本の自衛隊が支援することは義務付けられていないことから、一方的な内容だと感じている。しかし記事の筆者であるジェニファー・ジェイコブス氏は、米国の日米安保離脱はアジア太平洋地域の安全保障体制に脅威をもたらすと指摘している。日本は自国を守る新しい手段を考えねばならず、日本に核武装しようという考えが生まれてしまうかもしれない。記事では、ホワイトハウスは、このようなトランプ氏の発言が現実になる可能性はきわめて低いと考えている、と述べられている。

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モスクワ国際関係大学のドミトリー・ストレリツォフ教授は、「トランプ氏はすでに次回大統領選に向けて動いており、日米安保破棄に関する彼の言葉は、有権者を意識したものだ。彼は、票を集めるようなことをしなければいけない。米国にとって日米安保破棄はまったく現実的ではない。なぜなら日米安保は東アジアにおける米国の政策の根幹を成すものだからだ。日米安保なしには、米国がアジア、そして世界を支配するシステムは崩壊してしまう」と話している。

サンクトペテルブルク大学で米国研究に従事するアレクサンドル・クブィシキン教授は、トランプ氏のツイッター外交の特徴は、彼が自身の意見をころころと変えることであり、自分で自分の投稿に訂正をしつつも、その理由について説明しないことだ、と指摘する。

​「トランプ氏は大統領選の選挙運動中、NATO諸国は、もっと自国の安全保障に責任をもつべきだと主張し、米国の支援を弱めるぞと脅しながら、軍事予算を拡大するよう呼びかけていた。いっぽう、日本との関係においては、米国の戦略的利益の変更にまで話は及んでいない。しかし、純粋な仮説として、トランプ氏が、日米安保条約の経済的な面での条件の変更について述べているのだと予想することはできる。もしかするとトランプ氏は、どの程度日本に駐留米軍のための経費をもっと負担させることができるのか、こうした形で日本政府に圧力をかけて、日本がどのような反応を見せるのか、探りを入れているのかもしれない。

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または、例えば、日米安保条約に、サイバー空間での安全保障という項目を入れて、サイバー攻撃防止のための追加施設などを置こうとしているのかもしれない。トランプ氏は、世界全体が緊張状態にあり、北朝鮮問題の解決の目処が立たず、中国が米国のライバルとしてどんどん台頭している現在にあって、どんなことがあっても日米安保を破棄するなどということはしないだろう。しかし、この突飛な情報が、世界の安全保障が協議され、安倍首相との面会が控えている大阪のG20の数日前に現れたことは、偶然ではない。」

現行の日米安全保障条約は、それまであった旧安保条約(1951~)のかわりに、岸信介内閣時代の1960年1月に締結された。新しい安保条約は、米国が第三国と開戦にふみきる際に、日本も参戦するという義務を課さなかった。そのかわり、米国は日本国内に米軍人と米軍基地を配置するという権利を得た。この後、岸信介氏は、憲法を見直し、日本が完全な軍隊を持つ権利を復活させようという活動のイニシアティブをとった。彼の孫である安倍晋三首相が、自衛隊のステータスに関して、憲法改正を目指していることは、興味深いことである。

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