アントノフ駐米大使は米国がINF全廃条約の維持に向けた議論に応じる姿勢がない点に危機感を覚えている。さらにロシアがINF全廃条約の枠組みを超えたロケット開発を行っているとした根拠のない米国の批判に対しても不満を漏らした。また、アントノフ駐米大使は米国が包括的核実験禁止条約(CTBT、未発効)を破棄すべく、「積極的に働きかけている」と批判した。
ロシア側は米国との協議に応じる姿勢を示しているが、現時点において米国側が協議に応じる見込みはない。仮にINF全廃条約が破棄されれば、「世界は軍拡競争に突入するだろう」とアントノフ駐米大使は危機感をにじませた。
今年はじめ、ロシアが長期間にわたり条約に違反しているとして、米国はINF全廃条約の一方的な離脱を発表した。ロシア政府は批判を全て否定している。プーチン大統領は2月2日、米国による離脱決定に対してロシアも同様の対抗措置を取り、条約の履行を一時停止すると発表した。6月26日、INF全廃条約の履行一時停止を命じる法案はロシア上院で採択された。
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