ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センター長のワレリー・キスタノフ氏は、歴史認識をめぐる日韓の長年の論争は新しいレベルに突入したと話す。
「大阪で行なわれたG20サミットで、安倍首相と文大統領はごく短時間の面会さえ行なわなかった。韓国政府による新日鉄住金への賠償要求、徴用工問題は、日本の「我慢のコップ」に最後の一滴を注ぎ、それが韓国への制裁という形になって流れ落ちたのだ。韓国の実業界は状況をより冷静に受け止めており、日本からの経済制裁に対する強い不安を口に出している。韓国実業界は、日韓政府に対し、歩みを後退させ、経済問題を交渉材料として利用しないで、政治問題を解決するように呼びかけている。」
文大統領は、韓国は、問題を外交的に解決するよう努力していると言いながらも、韓国企業に大きな打撃が加えられるようなことがあれば、韓国は「必要不可欠な」手法をとることを強調した。
反中国というポジションを、日本と韓国に支持してもらいたいと考えている米国政府が、何年もかけて、自らの同盟国である日韓の歴史認識の齟齬をやわらげようとしているのは、興味深いことである。
日韓の摩擦が最近特に激しくなっています。日本政府は韓国への半導体材料の輸出規制を発動。韓国電機産業の大手に強く影響する可能性があります。これに対し、韓国では日本製品や旅行を含む訪日のボイコットを呼びかける声が一部から上がっています。この対立はどこまで発展すると思いますか?#日韓
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) 12 июля 2019 г.
この騒動に至るまでは、日韓の歴史対立が経済界にまで及ぶことはなかった。外交官で、モスクワ国際関係大学で東洋学を教えているゲオルギー・トロラヤ教授は、このような大転換を米国も歓迎しないと指摘している。
「日本政府は、米国の、言わば弟分として、今日、いくつかの国々に対してアメリカモデルで外交を行なっている。米国は、経済制裁という圧力のかけ方は、自国の専売特許だと思っていた。しかしその結果、従来存在した規則・ノルマに基づいた一定の国際的秩序を破壊した。今では、それぞれの国家が、経済制裁をテコに交渉する権利があると見なしている状況になっている。」
韓国政府は、半導体輸出規制に関する日本による対韓制裁についてWTOに提訴すると表明している。しかし、トロラヤ氏によれば、そんなことをしても、韓国は韓国の望む結果を早急に得ることはできないだろうと話す。
「この騒動は燃え上がり始めたばかりで、これを早急に沈静化することはできない。なぜなら日本人と韓国人の間には、とても深く、埋めようのない不一致があるからだ。今では北朝鮮も、韓国にとって100パーセント悪党の役を果たしてくれる存在ではないので、文大統領は歴史問題を愛国心の証拠として、国内の政争に勝つためだけでなく、外の敵に対して大衆の反感が盛り上がるように利用している。こういった理由のために、現在の文政権下では、この対立を調整する見通しは得られない。」
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