ところが、サムソン電子やLGエレクトロニクス、 SKハイニックスといった韓国企業は、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)の生産で世界の70%を、NAND型フラッシュメモリの50%をシェアしている。「スプートニク」は、日本が韓国に貴重な資材の輸出を規制したことが、世界のマイクロエレクトロニクス産業全体に否定的な影響を与えるのか、検証を試みた。
ロシア企業「インスタント・インベスト」社の分析部責任者アレクサンダー・ティモフィエフ氏は、日本政府の行動は、中国のファーウェイに対する米国の政策に非常に似ており、ファーウェイに対する攻撃は、ピンポイントだが強力なものだったと強調した。同氏によれば、「世界が貿易戦争と保護貿易主義にはるかに後退しているという実感から、これは警告となる。日本は長い間景気が後退していたが、現在は経済成長を取り戻す積極的な試みをしている。このために、グローバル化と自由競争の世界で歴史に深く入り込むべき限定的な決定を選択した」。
注目すべきは、日本と韓国の関係が激化した際には、いつも米国が仲裁に入ったということだ。しかし、今回、トランプ大統領は、これまで両国間の緊張を緩和させる明確なコメントを発していない。
深刻な状況にあるということは、米国トランプ大統領がもたらした「トレンド」であり、そのことはロシアの『専門』誌の金融アナリストであるアンナ・カロレバ氏も認めている。同氏は以下のように語った。「世界は貿易発展の変化の瀬戸際に立っている。残念ながら、時々隣人同士がお互いに自分の意見を押し通そうとすることがある。もちろん、韓国政府は新しいプロバイダーを見つける時間と交渉を要求しているが、しかし、中国が喜んで日本の地位に着くことは疑いない。ロシアも同様に、韓国に対し、マイクロエレクトロニクスに必要なフッ化水素の供給を申し出た。今後は、自動車市場とその部品、精製された石油製品、そしてさらに重要なのは、今日、韓国が世界のトップとなっている造船業といったさまざまな産業での再分割が期待できる」
全体として、現在の日本と韓国の貿易危機は、政治家たちが自国の経済成長を切望するグローバル化した世界では、ネットワークと国境を越えたサプライチェーンがますます脆弱化していることを示した。ファーウェイは、比較的短期間で米国の技術を使用する危険性に気付いたが、韓国企業は、日本のハイテク工業に重要部分が依存する危険性について知ることとなった。中国や韓国が世界経済の今後の発展の中で影響力をもつという結論を得たことは疑いがない。
関連記事