日本の現行法に従えば、憲法改正の実施は、国内で国民投票を実施した後にのみ可能となる。しかし、国民投票の実施には、ともかく衆参両院で3分の2以上の議席が必要となる。衆議院では、自由民主党とその賛同者が必要な議席数を確保している。今回の参議院選挙では、参院でこうした委任が確保されることが予定されていた。しかし、選挙の結果、自由民主党が獲得したのは113議席、同じ与党の公明党は28議席。その結果、自民・公明による連立与党は全体で141議席にとどまり、野党とその他の新党を含めた議席数は104議席となった。今回の選挙までは与党陣営が147議席を持ち、野党側は90議席だった。
ロシア科学アカデミー極東研究所・日本研究センターのワレリー・キスタノフ氏によれば、憲法改正は、安倍首相が執念を燃やす課題の1つであり、彼は将来その達成を成し遂げるだろうという。またキスタノフ氏は、次のように続けた。「ロシアとの平和条約締結と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の拉致問題といった2つの課題がまだ未解決のままだ。そのため安倍首相は、自衛隊の合憲化のため憲法9条の改正のために最善を尽くすだろう。安倍首相は、2020年の憲法改正を目標としているが、今後、野党と協議しなければならない。そしてまず第一に、21議席を持つ国民民主党との協議が求められる。もし同党との協議がうまくいけば、国民投票への道が開ける。しかし、国民投票で憲法改正に国民が賛成することは、遠く現実的でない。最近の世論調査では、日本の憲法改正に「賛成」と「反対」はほぼ同じ割合だった」。
21日投開票された参議院選挙で自民・公明の与党は改選定数の過半数を超える71議席を獲得。安倍首相は任期中の憲法改正に改めて意欲を示しました。果たして、自衛隊は憲法上で合法化されるのでしょうか。#憲法
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) July 23, 2019
スプートニク:こうした国内情勢の中、それでも安倍首相はこの道を進むのか。
キスタノフ氏:安倍首相は、戦後の日本に占領当局が課した制限を取り除きたいと望んでいる。彼は、だいぶ以前から自衛隊は軍隊であるという現実を合法化したいのだ。中国と韓国は、これは日本軍国主義の復活だと指摘している。反対を表明している日本の国民の半数も、同様に考えている。安倍首相がこの壁に打ち勝ち、自衛隊の地位を変える必要性について国民を説得できるかどうか、それは予想できない。
日本国憲法9条は、国際紛争の解決の手段として戦争を放棄することを宣言し、その原則は平和主義の象徴となった。しかし、事実上、自衛隊はすでに警察の公的地位を上回るものとなっている。2015年9月、日本の国会は、海外での軍事紛争に自衛隊を参加させることを承認した。