損失規模
8月21日、ブラジル国立宇宙研究所(Inpe)は、1月から8月までに火災により180万ヘクタールのアマゾンの森林が破壊されたと発表した。その際、最大の損失があったのは3月で、アマゾンの50万ヘクタール超が焼失したという。衛星で確認された国内の火災総数は、昨年に比べて85%増加している。
国外からの支援
仏ビアリッツで行われたG7サミットで、仏エマニュエル・マクロン大統領は、アマゾン関係国に対するG7加盟国の財政・技術援助は「できるだけ速く」行わなければならない、と発言した。
G7初日の8月24日、欧州理事会ドナルド・トゥスク議長は、ブラジルが火災問題を解決できなければ、EUは南米との貿易協定の批准を拒否する可能性があると述べた。
ブラジルの燃え盛る「地球の肺」の消火に関しては、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、チリも支援の用意を表明している。火災に関しては、EU大統領(欧州理事会議長)、国連アントニオ・グテーレス事務総長、同マリア・フェルナンダ・エスピノサ総会議長など、多くの政治家や有力者が懸念を表している。ハリウッド俳優のレオナルド・デカプリオ氏は火災対策として500万ドル(約5億4千万円)の援助を約束した。
英グリーンピース森林基金の会長リチャード・ジョージ氏は「2000万ドルの拠出はナンセンスだ。なぜなら特にアマゾンの問題は、英国やその他のG7諸国における肉や乳製品の過剰消費に直接関係しているからだ」と述べた。
「植民地的な考え方」 ブラジル政府はG7提案をどう思っているか
ブラジルニュースサイトG1は、同国オニキス・ロレンゾニ官房長官の「感謝するが、その資金は欧州の森林回復に役立てればいいのではないか。マクロン大統領は予測可能であった世界遺産の寺院火災も防ぐことはできないのに、ブラジルがどうすればいいか、私たちに教えようというのか?マクロン大統領は自国でも仏植民地でもやるべきことは沢山あるだろう」というコメントを伝えた。ロレンゾニ官房長官は、ブラジルの自然植生面積は他国とは比較にならず、ブラジルは「どの国」にも、森林保護の方法を示すことができる、と指摘した。
ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領は、仏マクロン大統領はブラジルや他のアマゾン国の内政を利用して政治的利益を得ようとしている、と述べ、またマクロン大統領が当事国抜きでG7においてアマゾン問題を協議しようというのは「植民地的な考え方であり、21世紀には受け入れられない」としている。
火災の原因は?
一部の環境保護者は、火災増加は、先日就任したジャイール・ボルソナーロ大統領の政策と直接関係があるとしている。特に環境被害に対する罰金の低額がそれに当たる。
環境保護団体グリーンピースは、火災増加は森林破壊、つまり採掘企業の発展や農業用地の確保を目的とした森林の土地開拓によるものとしている。火は森林破壊の主な道具であり、地元住民も使用している、とグリーンピースは指摘する。
アマゾン森林地帯の重要性とは?
「地球の肺」と呼ばれるアマゾンには地球最大の熱帯雨林がある。熱帯雨林は極めて重要な炭素堆積物の貯蔵庫であり、地球温暖化を遅らせている。熱帯雨林は数カ国にまたがっているが、ほとんどの面積がブラジル領内にある。アマゾン熱帯雨林は300万種の動植物の宝庫であり、100万人の先住民の家でもある。
森林火災はブラジルだけの問題ではない
7月末、シベリアで森林火災は発生。4か所の構成体で非常事態令が発動された。火の手はイルクーツク州、クラスノヤルスク地方の全域とブリヤート共和国の2つの地区およびサハ共和国(ヤクート)の1地区で上がっている。火災のかなりの部分が人の入りづらい山岳地帯で起きているため、居住地へ広がる恐れはない。
煙は西シベリア一帯に広がり、ウラル連邦管区まで達している。この先、モンゴル、アラスカ、カナダまで到達するものと予測されている。
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