いつも.は、オンラインショップで販売される製品に関する情報、広告やマーケティング資料に関する情報をロシア郵便に提供し、ロシア郵便のオンラインショップを通じ注文を受けた商品のロシアへの発送手続きまでを担当する。ロシア郵便は、オンラインショップの運営、広告およびプロモーションを行い、日本から送付された商品の購入者への配達までを担当する。
いつも.は2007年以来、Eコマース支援・運営代行サービスを提供し、日本商品のプロモーションを促進してきた。すでに取り組んでいる中国、ASEAN、欧州への越境Eコマースに加え、今回の合意で、ロシアでの越境Eコマース事業を新たに推進することになる。
いつも.の坂本守代表取締役は、覚書締結にあたり「ロシアの越境Eコマース市場は6000億円と言われています。人口1億4千万人、広大で美しい土地を持つこの国は、今後さらにEコマースの発展が望まれる世界有数の市場です。潜在能力を無限に秘めたロシアに、高品質の日本商品が届くことを想像してみてください。今回の取り組みにより、新しい市場が開拓、拡大するのは時間の問題と言えるでしょう」とコメントしている。
© 写真 : itsumo.株式会社いつも.とロシア郵便、東方経済フォーラムでMOUに署名
株式会社いつも.とロシア郵便、東方経済フォーラムでMOUに署名
© 写真 : itsumo.
ロシアにおける日本商品の需要に、ロシア郵便は早くから注目していた。2016年12月、総務省とロシア通信マスコミ省は、ICT分野及び郵便分野における協力について覚書を交わし、同時に日本郵便とロシア郵便も「輸送効率化」「日露間の越境Eコマースの可能性」「郵便輸送技術のベストプラクティスの共有」の3分野で協力することで合意した。
2017年11月に始まった、ロシアの郵便局で日本商品の試験販売を行うパイロットプロジェクトは、売れ行きが好調だったため、2018年5月からロシア全土に拡大した。筆者の住むモスクワでも、多くの郵便局で日本商品を目にすることができ、郵便局で日本の洗剤やコスメなどが買えるというのは珍しいことではなくなっている。オンライン販売に踏み切るというロシア郵便の決断は、より消費者のニーズに応えるものとなる。ただし、ロシアにおけるEコマース発展のための課題はいくつもあり、ロシア郵便自身もそれを認識している。今後、いかに利便性が高く、競争力のあるオンラインサービスを構築できるかが、このプロジェクトの成否を分けるだろう。
両社による正式な契約書は後日締結される。また、9月11日には、ロシア郵便の幹部が来日し、都内のホテルで「いつも.×ロシア郵便 越境ECプロジェクト説明会」が開催される予定だ。