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2016年12月、総務省とロシア通信マスコミ省は、ICT分野及び郵便分野における協力について覚書を交わし、同時に日本郵便とロシア郵便も「輸送効率化」「日露間の越境Eコマースの可能性」「郵便輸送技術のベストプラクティスの共有」の3分野で協力することで合意した。今回の試験販売はEコマースの可能性をさぐる消費者ニーズ調査も兼ねており、品目の選定や価格設定など、日露間で数か月にわたり実務協議を重ねてきた。
日本郵便で今回のパイロットプロジェクトを担当する国際事業部担当部長の田畑浩氏は、ヴォロネジの試験販売に立ち会った。
田畑氏「ヴォロネジでは、果汁100%のりんごジュースをリピートしてくださった方や、日本のテレビ番組を見て日本食に興味をもち、ラーメンを買ってくださった方もいました。お寿司消しゴム6種類を全種類購入された方もいました。このプロジェクトは日本を知ってもらえる機会でもあるので、ロシア側が要望したコスメ用品だけでなく、江戸切子や風呂敷などの日本をプロモーションできる商品も揃えました」
椿油のシャンプーとコンディショナーを購入した女性は「郵便局で日本製品が買えると友人に聞いたので、シャンプーを目当てに来ました」と話してくれた。やはり日本の日用品は根強い人気があり、フェイシャルマスクはすっかり品薄になっていた。スタッフによれば最も売れているのは、洗顔フォームだという。りんごジュースに興味をもつ人も多かったが、280mlというサイズはロシア人にとって小さかったようだ。
ロシア郵便のイネッサ・ガラクチオノワ副社長は「ヴォロネジにおける日本製品の販売は、ロシア人が日本の製品を信頼しているということを証明しました。私たちはモスクワにおいても、日本側が提供した商品が市民に高く評価される、と確信をもっています」と話している。
ロシア郵便はここ数年、商業分野に特に力を入れている。切手やポストカードだけでなく、生活必需品の対面販売や、カタログ販売も行なっている。国土の広いロシアでは、通常のネットショッピングが不便な地域もあり、郵便局が買い物のためのインフラになっているのである。
本業の手紙や小包の配達においても、日本企業の協力により精度とスピード感が向上している。モスクワ国際郵便交換局では、2014年末から東芝によって郵便物仕分けソーター、X線装置などの税関機器、コンベアー等が導入されてきた。特に交換局内で税関手続きができるようになったことで、大幅に利便性が向上。オペレーション・システムの改善は現在も続いている。今後、ロシア郵便における日本の存在感はいっそう高まりそうだ。