ところが8月30日に国の有識者会議が福島県と東京電力と都内で開いた初めての公聴会では参加者の多くから政府に対し、汚染水保管のための別の用地を用意し、海洋への放出案はなかったことにするよう要請がとんだ。
海洋放出に異議を唱える環境保護者らは、汚染水にはトリチウム以外の放射性物質が残存している恐れがあると主張している。放出に反対しているのは、海産物に大きな問題が出ると危惧する地元の漁師らも同様だ。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)や韓国政府も異議を唱えており、汚染水の放出でただでさえ容易ならない対日関係は一層複雑化しかねない。
放射能汚染水は一度浄化された状態であっても海洋放出するのは危険なのだろうか?スプートニクはこの問を原子力関連のポータル「 AtomInfo 」のアレクサンドル・ウヴァロフ編集長にぶつけてみた。
日本は汚染水からトリチウムを除去するテストを実験室という条件下で行った。これにはロシアの複数の企業も参加している。だが作業規模が拡大され、原発内のすべての汚染水を浄化するとなれば、それはあまりにも高価につく。
それに日本はこの決定でかなりの経済損失、イメージダウンを負う。とれた魚が放射能に汚染されていると再び言われるだろうし、魚の輸入を拒否する国が出てくることもありうる。環境保護者側からの批判も逃れられない。ロシアをはじめとする近隣諸国も制限する反応を示すだろう。日本がこの問題にアプローチするには、起こりえるパターンをすべて想定し、慎重にならざるを得ない。」
日本は汚染水を入れたタンクを地中深くに埋める方法から、深地層に流す策まで、他の様々な解決法も検討している。ウヴァロフ編集長はいずれにしても汚染水は永遠に地上に保管することはできないため、決断はせねばならないと語る。
原田前環境大臣はこの問題はあまりにも深刻であるため、閣議にかけられるだろうと語っている。11日に新環境大臣に選ばれた小泉進次郎氏がこれに賛同するか否かはわからない。小泉氏は「環境に対する日本の先進的取り組みを世界に発信していく」と意気込んだ発言を行っており、まず初めに福島県を訪れる構えを明らかにしている。