ロシア科学アカデミー国際経済・国際関係研究所の日本経済政治部長であるヴィタリー・シヴィトコ氏によると、首脳会談の可能性は十分に現実的だという。シヴィトコ氏は言う。「日本は北朝鮮と独自のチャンネルを持っており、非公開の裏舞台交渉は定期的に行われています。とはいえ、北朝鮮側は日本と共通言語を見つけることができないとして、最近までこれを悲観的に評価していました。」
しかし、いかなる事前合意もない状況で、日本はどのようにして北朝鮮の指導者と日本側にとって極めてセンシティブな2つの問題の解決を探るつもりなのかは全く不明だと、ヴィタリー・シヴィトコ氏は語る。
「それはもちろん、国内で心理的にとても大きな問題となっている拉致問題です。拉致被害者の帰国はもう長く議論されておらず、問題は彼らの運命に明確な光を投げかけるような信頼できる文書にあります。ふたつ目の問題は、日本の領土に到達する可能性のある北朝鮮のミサイルです。というのも、防衛省は日本のミサイル防衛システムが北朝鮮から発射された新型ミサイルの軌道を必ずしも検出できるとは限らない、あるいは検出が遅れる可能性があることを発見したからです。これは日本にとって真の脅威であるため、この2つの問題で具体的な合意のない交渉プロセスは、どんなものであれ、単に無意味です。」
コンスタンチン・アスモロフ氏によると、安倍総理が北朝鮮の指導者と前提条件なしに話し合うと決めたことは、韓国との貿易戦争が続くなかで、韓国に痛手を負わせる追加的な方法と見なすことができるという。
しかし、名誉という観点から見ると、この会談でより大きく得をするのは安倍総理よりも北朝鮮の指導者であると、アスモロフ氏は言う。「金正恩委員長はすでにトランプ大統領と握手を交わしています。これは少し前にはあり得ないと思われていたことです。金委員長が日本の首脳とも会談することができれば、たとえ結果的に交渉プロセスが形式的な会話にとどまったとしても、彼が新たな得点を稼ぐことになります。」
いずれにせよ、重要な国際場裡である国連という場で安倍総理が行った発言は、会談が成功するか否かにかかわらず、両国の二国間関係にとって大きなプラスであり、日本と北朝鮮の緊張緩和の一種のマーカーであると、ロシアの専門家は考えている。