店内には、ビストロとバー、そしてカラオケがあり、それぞれのゾーンを自由に行き来できるようになっている。「IZUMI」オーナーの依頼で監修シェフに就任したのは、小林克彦さん。
小林さんはモスクワの人気カフェ「Corner Cafe&Kitchen」のオーナーシェフとしても活躍する有名シェフだ。小林さんの発案により、定食やおつまみなど、手軽に楽しめるメニューが充実している。バーは本格的なもので、カウンターではバーテンダーが、カルピスや日本酒を使ったカクテル、ハイボールなどを作ってくれる。
小林さん「この店のコンセプトについて紹介されたとき、新しくて面白いと思い、すぐにお引き受けしました。オーナーの方々は、調理場一筋だった私とは違い、若くてアイデアに富み、一緒に仕事できることが楽しいです。IZUMIでは、よりカジュアルに、より日本に近く、肩肘張らずに楽しんで食べてもらえるものをご提供したいと思っています。」
日本発の娯楽であるカラオケは、ロシアでもファンが増えている。ただ、そのほとんどはカラオケバー形式で、他のお客さんがいる前で歌うというものだ。一方、「IZUMI」には日本のカラオケボックスのように、様々な大きさの個室が6部屋あるので、まわりの目を気にすることなく、独立性の高い空間でカラオケを楽しめる。もちろん食べ物や飲み物もオーダーできる。ロシア語・日本語・英語の歌が歌えるのはもちろんだが、それ以外の言語も追加していく予定なので、歌を通じた国際交流の場にもなりそうだ。オープニングイベントではロシア人女性が「天城越え」「川の流れのように」など日本の歌謡曲を熱唱し、喝采が上がっていた。
ルキヤノフさんは名古屋商科大学に留学経験があり、勉強以外にも、稲刈り、幼稚園や学校訪問、学園祭の屋台出店など、日本で様々な体験をした。「ロシアに戻ってから落ち込んでしまい、日本が恋しくて仕方なく、その気持ちがビジネスの原動力になった」というルキヤノフさん。モスクワ大学在学中だった2017年4月に、若者たちが安価に日本食を楽しめるファーストフード店「NAGOYA」(名古屋)をオープンし、またたく間に人気店となった。廣瀬さんは、すでに飲食ビジネスで実績のあるルキヤノフさんと組むことで、より大きな事業展開を可能にしたのである。
さらにルキヤノフさんは、オンラインビジネスを手がける友人のキリル・プリムさんを誘い、「IZUMI」の立ち上げメンバー3人が揃った。プリムさんは「今までやったことのなかったオフラインのビジネスは新鮮です。バーのメニューなどを研究するため日本に行き、自分も心からすっかり日本にはまってしまいました」と話している。
廣瀬さん「チームの士気・能力・責任感が非常に高く、理想を上回る店が実現できました。これからも、常に新しい体験ができるよう更に工夫を重ね、ロシア人が楽しく日本文化を体験できる場としてパワーアップしていきたいです。将来はモスクワだけでなく、このようなコンセプトをロシア全土で展開したいと考えています。」
オープニングイベントは大盛況。プレゼント抽選会や雑誌「KIMONO」の新刊プレゼンテーションも行なわれるなど、日本への高い関心を感じさせる熱気あふれるパーティーとなった。日本の旅行ガイドをしているという女性は、「個室で食事しながらカラオケできるのは、本当に日本みたい」と満足げだった。
(店舗情報)
「IZUMI」(泉)
所在地: Moscow Myasnitskaya street 38c1
営業時間:11時~23時
電話番号:+7 925 773 7211
メールアドレス:izumi.in.moscow@gmail.com
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