ベルリンの壁の崩壊から30年となった9日、東西ベルリンの分断と統一の両方を象徴するブランデンブルク門前の広場ではシュタインマイヤー大統領やメルケル首相が参加して記念のイベントが開かれた。
この中で、シュタインマイヤー大統領は、「多くの犠牲者を出した非人道的な壁はもうない。しかし、ドイツ社会には怒りや憎しみ、疎外による『新たな壁』ができた。取り壊せるのは私たちだけだ」と述べて、ドイツ社会の分断を乗り越えようと訴えた。
ベルリンの壁崩壊時、ソ連の最高指導者だったゴルバチョフ元大統領はシュピーゲル誌のインタビューにこたえ、「ドイツ人は自分の国の運命をみずから決める必要があった。私に必要だったことは暴力を除くことだった」と述べて、壁の周辺に集まった東ドイツの人々に対して、武力で排除するなどといった事態とならないよう配慮したことを振り返った。また、「冷戦時代を懐かしむようなことがあってはならず、当時の状況に戻ってはならない」と述べて、現在、ロシアと欧米が対立を深めている状況について、危機感を示した。
ドイツ各地では東西市民による対話の集会やアート作品の展示などの催しが10日まで行われている。