北極圏の軍事化:氷に閉ざされた冷たい空間は、熱い戦闘の場になってしまうのか?

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Спуск на воду патрульного корабля Иван Папанин в Санкт-Петербурге - Sputnik 日本
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日本政府は北極海の安全航行を支援するシステム開発を支援し、ロシアでは最新砕氷船「イワン・パパニン」の進水式が行なわれた。これらのニュースは、10月下旬、ほぼ同時にメディアに現れた。

読売新聞が伝えたところによれば、北極海を航行する日本の船には、海面をモニタリングし、氷の厚さを測ってくれるレーダーが搭載されることになるという。これらのデータは衛星から送られ、最も安全で最適で、エネルギー効率のよいルートを商業船が通れるようになる。これはつまり、日本が、北極海航路を、物資の輸送経路として利用することを意味する、と読売新聞は結論づけている。

ロシアの最新砕氷船「イワン・パパニン」は、その船のスペックによって、海外メディアの注目を集めている。

「イワン・パパニン」は1.7メートルもの厚さの氷を砕くことができ、対空ミサイルコンプレックスを有し、大砲も発射できれば、レーダーシステムおよび天候予想の機能も備えている。「総合造船コーポレーション」のゲオルギー・ポルタフチェンコ取締役によれば、これは軍艦であるが、軍用でない目的のために建造された。この種の不意根の第二弾は、2024年に完成する予定になっている。これらの船は、世界最大規模のロシア海軍の仲間入りをすることになる。

なぜ北極圏がここまで注目を浴びるようになったのか?

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低すぎる気温、吹雪や雹など、年間を通しての航行を阻む様々な要因によって、北極圏は氷に閉ざされた静かな場所とされてきた。しかし気候変動によって状況は激しく変化。北極圏の気温は他地域に比べて早いテンポで上昇しているのである。

世界中の多くの専門家は、そう遠くない将来、北極海航路がスエズ運河やパナマ運河、マラッカ海峡といった航路のライバルになるだろうと予想している。BPやエクソンモービル、シェル、ガスプロムといった石油メジャーによって行なわれた調査では、まだ発見されていない、世界のおよそ3分の1の石油とガスは北極圏に眠っているという。また亜鉛や錫、金、ダイヤモンド、希少な鉱石もそこにあるとみられている。

北極圏は資源獲得競争の場になるのか?

もし専門家らが指摘するように、20~25年後に北極海航路がペルシャ湾のようになるなら、かつてのアラスカのクロンダイクに人々が金を求めて殺到したように、北極圏も資源獲得競争の場になるのだろうか。

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国連海洋法条約によれば、北極海に面した国は、自国の排他的経済水域内において、資源を自国のために使う権利を有している。もし200海里を超えていても、その先に大陸棚が広がっている場合は、その部分も使うことができる。「北極圏5か国」であるロシア、カナダ、ノルウェー、デンマーク、そして条約を批准していない米国、これら全ての国は、この権利を使うことを表明している。漁業が盛んな国も北極海に関心を示している。アイスランド、中国、北朝鮮、韓国、日本、そしてEU諸国だ。これらの国々の間で生じる論争は、1996年に創設された北極評議会で平和的に解決するよう努力がなされている。

北極評議会では国際協力や環境保護に関する問題がおもに討議されている。しかし今年5月に行なわれた北極評議会の場で米国のポンペオ国務長官は、米露中による地政学対立、商業ルート確立と資源獲得競争が先鋭化しているタイミングで、「北極圏における戦略的協力の新時代が来た」と演説の中で述べた。

誰が何のために北極圏を「軍事化」しているのか?

重装備の「イワン・パパニン」については世界中のメディアが騒ぎ、英タイムズ紙は、ロシアの「戦闘砕氷船」の登場は北極圏の軍事化と北極圏の資源獲得競争先鋭化の懸念を強化すると報じた。

ベトナム紙「BaoDatViet」は、「イワン・パパニン」は米国空母にとって大いに脅威になるとし、「このようなロシアの新船は、頭に血が上った敵の頭を冷やすのに十分だ」と報じた。

軍事専門家で、予備少佐のセルゲイ・リポヴォイ氏は「ロシアにとって北極圏に軍を置くということは国家の安全保障の問題だ」と指摘する。

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リポヴォイ氏「もし米国からロシアを攻撃するなら最短ルートは北極圏を通ることになる。有事には、米国空軍の戦闘爆撃機は北極圏を通過しロシアを攻撃するだろう。最近、米国海軍のリチャード・スペンサー長官は北極海に軍事潜水艦を派遣することを明らかにした。米国の原子力潜水艦はだいぶ前から海の氷の下を航行している。なので、ロシアとしては思慮深く、あらかじめ自国の領土を守っているのだ。しかし、米国には、北極圏でロシアと対立できるだけの軍事リソースが足りていない。砕氷船は2隻しかなく、北極圏で航行できるのはそのうち1隻だけだ。そして北極圏の海岸インフラもない。」

米国がロシアに、北極圏における物質的なリソースという意味で遅れをとっていることは米国の専門家たちも指摘しており、もし北極圏で米露が衝突すれば、米国にとって非常にネガティブな結果をもたらすと予告している。元米国軍人で、現在は国家安全保障・外交アナリストをしているLuke Coffey氏は、ネイビー・タイムス紙へのコメントの中で、「戦争のための準備をしているのではない。これは未来のための準備にすぎないのだ」と話している。

ロシアの北極南極評議会の会員、イーゴリ・チェルヌィシェンコ氏はスプートニクとのインタビューの中で「北極圏は、理性的な観点から言えば、軍事衝突に適する場所ではない。ロシアは北極圏で軍事化するよう追いやられているが、これはロシア国境でどこでも行なわれている、軍備近代化・刷新の一環にすぎない。結果として北極圏におけるロシアの軍事潜水艦の数は、むしろ減っている」と話している。

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