CNNのその記事が出るだいぶ前、2016年の3月の段階で、「The Nation」紙の解説者で、元米国国務省の職員であるジェイムス・カルデン氏は、クルド人に対して、まだ今のところイスラム国との戦いにおいて、米国にとってクルド人は不可欠な存在であり、さらには将来的にアサド大統領に対抗するためにもクルド人が必要であると予告した。しかしシリア情勢が平常化するにつれて、米国は単にクルド人たちの「サービス」を拒否するだろうと書いた。そして実際に、そうなった。
初めてではない…
ベトナム戦争真っ只中だった時、南ベトナムの大統領ゴ・ディン・ジエムに反するクーデターが企てられていると知った時、米国は自身の同盟国を守るために指一本動かすことはなかった。その後、パリで和平協定が調印されると、米軍は南ベトナムから撤退し、南ベトナムの住民はホーチミン勢力と一対一で向き合う羽目になった。南ベトナムは崩壊、サイゴンは陥落した。
他にも同様のエピソードがある。「アラブの春」が進行していた2012年、米国は、権威主義体制の民主化というはかない概念を支持し、中東で長らく米国の敵であったエジプトのムバラク大統領との戦いにおいてムスリム同胞団を支持した。その一年後にはカラー革命の指導者モルシ大統領を拒否し、軍事革命の過程で、現在の大統領であるアブドルファッターフ・アッ=シーシーをトップに据えたのである。
さらに、第5条の内容を実行するのに軋轢となるのは、米国大統領の決定だけではない。米国がNATOまたは他の同盟条約の枠組みの中で武力行使に踏み切るには、議会の決定も必要だ。特に、もし相手が核保有国であれば、議会の承認が得られないかもしれない。
まさにこのために、北朝鮮からの核の脅威に対しては、次のような公式が適用される。米国は、西海岸で東アジアに最も近い大都市であるロサンゼルスを犠牲にしてまで、日本を助けようとはしない。