この結果、夢を見ている時に感じる恐怖感は、覚醒時の場合と同じく、島皮質と前帯状皮質が関与していることが分かった。
島皮質は覚醒時の感情の評価にも関与しており、覚醒時に恐怖を感じた時に体系的に活性化する。また、前帯状皮質には脅威に反応できるよう身体を慣らす働きがある。
2つ目の実験 悪夢の後は現実世界の恐怖感は軽くなる
2つ目の実験の目的は、夢の恐怖と現実世界での恐怖の関連性を明らかにすること。89人の被験者は、1週間にわたり、起床後、ノートに夢の内容と、その時、どう感じたかを書き記すよう求められた。
この記録をさせたあと、研究者らは被験者らに暴力や災害の映像を見せ、それへの脳の反応を核磁気共鳴画像法(MRI)で調べた。
夢と現実での脳の活動を比較してみたところ、夢で感じた恐怖が大きければ大きいほど、映像を見たときの被験者の島皮質と前帯状皮質がそれほど活性化されないことが分かった。このように、夢での感情と覚醒時の感情の間には関連があることが確立された。
得られた実験データから研究者らは、夢をセラピーとして用いることができると示唆している。つまり、夢には現実世界の危険に対応する準備ができる潜在的な可能性がある。
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