国立アカデミー人文大学東洋学部・修士2年のイリーナ・アヴデュシェンコワさんは、日本で新しく定着してきたエンディングノートについて発表を行ない、日本における終活の現状や新時代の埋葬の選択肢、家単位から個への概念の変化など、最新の情報を提供した。
会場にはエンディングノートについて知っている人はほとんどおらず、皆がアヴデュシェンコワさんの発表に熱心に聴き入り、「遺言とエンディングノートは何が違うのか?」「法的拘束力を持たない文書を残す意味はあるのか?」「宗教と関係があるのか?」など、様々な質問が飛び交った。
ロシア社会では、生前に死について話すことは縁起が悪いとされ、忌み嫌われていたが、アヴデュシェンコワさんによれば近年その傾向に変化が見られるという。来月にはサンクトペテルブルクで、死や埋葬をテーマにした学会も開かれる。もともと日本における祖先崇拝の変遷について研究していたアヴデュシェンコワさん。修士課程修了後は日本に留学し、大阪大学の博士課程で研究を続ける予定だ。
© Sputnik / Asuka Tokuyamaセクション「日本の内政と外交」にて
セクション「日本の内政と外交」にて
© Sputnik / Asuka Tokuyama
数あるセクションの中でも最も盛り上がったのは、「日本の内政と外交」だろう。ここでは、憲法9条改正をめぐる日本の動き、日米同盟のあり方や日本の安全保障政策変化の背景、日中韓関係、日本のソフトパワー政策などについて白熱した議論が交わされた。
「日本の内政と外交」でコメンテーターをつとめたモスクワ国際関係大学教授のドミトリー・ストレリツォフ教授は、学会が単なる報告にとどまらず活気ある討論の場になったことを評価した。
「様々な問題が提起され、いくつかの発表では、非常に多くの質問や意見が出て、自然とディスカッションになりました。通常なら興味を持たれないようなテーマでも、今日の参加者にとっては大変関心のあるテーマだということがわかりました。このように会が進行したことは好ましく、若い人によって今後も日本研究が続いていくという希望がもてるものでした。また、参加者がロシアの色々な都市から集まってきていて、日本研究者がほぼ全ての主要な大学にいることは大事なことです。大変面白くて意義のある会でしたが、卒業後に研究者の道を選ぶ若者は減っています。今日のようなテーマでもっと多くのハイレベルな研究論文が出てくることを期待します。」