「こんな接し方は今までなかった」 ロシア人作曲家 是枝監督との仕事を語る

© Sputnik / Ekaterina Chesnokova / メディアバンクへ移行是枝監督、カンヌ国際映画祭
是枝監督、カンヌ国際映画祭 - Sputnik 日本
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今世界では、国際共同制作チームによる映画がますます増えている。そのうちの1つが日本の是枝裕和監督がフランスで撮影した『真実』。これにロシアの作曲家が参加している。

映画『真実』のテーマは、スターとして活躍する母と娘の複雑な関係。是枝監督が家族関係を詳細に描いたのはこれが初めてではない。家族と格差を描いた同監督作品の『万引き家族』は、2018年カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールを受賞した。新作映画『真実』では、フランスの映画スターのカトリーヌ・ドヌーヴさんが母親役に、その娘役にジュリエット・ビノシュさんが主要な役どころとして出演する。音楽は、ロシア内外で80作以上の映画音楽を担当してきたロシアのアレクセイ・アイギ氏が作曲。映画『真実』は、是枝監督にとっては日本の外で撮影する初めての作品だ。そしてアイギ氏にとっても日本人映画監督と仕事をするのが初めての作品になった。

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アイギ氏は、スプートニクの取材に対し、映画『真実』は完全なるフランス映画であるにもかかわらず、そこにはなんとも捉えがたい、日本の色彩があるとして次のように語っている。

是枝さんから映画音楽の作曲依頼は私にとって全く予期していないことでした。『万引き家族』でカンヌのパルム・ドール受賞の後、是枝さんは、以前から考えていたシナリオをフランスという土壌で撮影することを考えはじめました。パリで是枝さんには、数人の作曲家が提案されました。是枝さんはそれらの作品を聴き始めましたが、そのなかに私の作品が偶然入っていたのです。是枝さんは私のことはおそらくご存知なかったでしょうが、私の曲を聴き、起用したのです。私はもちろんとてもうれしいです。 

是枝さんに初めて会ったとき、どんな音楽に映画の中で流れていてほしいのか話してくれました。最初の課題はかなり難しいものでした。なぜなら1960年代のフランス音楽風に作曲しなければならなかったからです。これは映画のワンシーンでストリートミュージシャンが演奏するためのもので、私も彼らに交じって出演したらどうかと提案されました。そのシーンの撮影はパリの中心部で夜通し行われました。みんなが私の曲で踊っていて。これは忘れられないですよ。幸いなことに、映画には私の姿ほとんど映っていませんした。映画俳優のキャリアを築く準備はまだできていませんからね。

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アイギ氏にとって是枝監督との会話は大きな喜びをもたらし、また、それまで知ることがなかった、手紙で自分の気持ちを伝えるという日本の世界が同氏の前に開かれた。

音楽の言語はインターナショナルなものなので、是枝さんと仕事をするうえで特別な問題はありませんでした。それに私は日本の文化を知っていましたし、日本の音楽家とたくさん演奏してきました。映画『真実』の撮影は完全にヨーロッパ風でした。ただし、ひとつだけ違っていたことがあります。それは是枝さんが、ヨーロッパ人の仕事仲間はぜったいに書かない手紙を私に書いてくれたことです。その手紙とは、是枝さんが私と一緒に仕事ができてとても嬉しいこと、仕事ではこれをしなければ、あれをしなければ、という内容で、真の意味でのメッセージでした。その文章すべてがエレガントで詩的でした。私はこのような接し方にロシアやフランスの映画界で出会ったことはありません。ところで、コンサートで私が最も詩的なレビューをもらったのも日本でのものだったのですよ…。

映画『真実』はすでに世界中の映画館で上映されており、ロシアでの封切は1月。面白いことに、是枝監督はパリでの撮影中に『万引き家族』のロシア上映に合わせ、ロシアの観客への動画メッセージを送っていた。

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