視察団のひとり、「Synamon」の武樋恒(たけひ・わたる)CEOはスプートニクの取材に応じ、ロシアの可能性について話した。SynamonはXR技術を開発するスタートアップで、海外展開を検討している。エンジニアの質が高い一方で給与水準が欧米よりも低いロシアは、魅力的なパートナーになる可能性があるという。
武樋さん「ロシアは優秀なエンジニアが多いだけでなく、地理的に、巨大なマーケットであるヨーロッパへのハブにもなり得ます。VR分野では、ヨーロッパの大手企業がロシアに開発を委託しているという話をよく聞きますし、テクノロジー面でも、ハブという意味でも、ロシアには様々な魅力があります。」
武樋さんは、仕事に実直に取り組むロシア人となら、共に新しい技術を追求していけると考えている。
武樋さん「私たちが取り組んでいるのは新しい技術で、それは深く追求していかなくてはならない類のものです。ロシア人には真面目で実直な人が多く、テクノロジーに対して関心が高い。VR企業をまわると、情熱を持って取り組んでいる人ばかりで、一緒にやっていけそうだと感じています。」
武樋さんのロシア視察に同行したのは、横井孝典さんだ。横井さんはかつて、エンジニア向けサービスを提供するスタートアップを創業。同社を売却後、自身の投資会社「あおいとり」を立ち上げ、スタートアップを支援する立場になった。
横井さん「ロシアのプログラマーが優秀だという話は聞いていました。ですが、基本的に日本人は北米、特にサンフランシスコに注目しています。ロシアは日本人にとってあまりなじみのないところなので、もしかしたらチャンスがあるかもしれない、と思って一緒に参加させてもらいました。実際のロシアは想像と全く違っていて、治安もよく、みんなが真面目に働いています。完全にこの国の印象が変わりました。」
横井さんは、投資家の立場から、ロシアのスタートアップ事情を知りたいと話す。
横井さん「プログラマーの労働形態や給与にも興味がありますし、どういうソフトウェアを使っているのか見てみたいです。また、日本と比べてロシアはベンチャーキャピタル(VC)からの投資規模がとても小さいので、ロシアのスタートアップはどうやって生きているのか、VCはどういう点を重視して投資しているのか、日本や北米との違いを知りたいと思います。」
日本の訪問団は、展示会「CSTB Telecom&Media」以外にも、経済特区テクノポリスや、学術研究都市スコルコヴォなどを視察。ロシアビジネスの新たな可能性を模索した。