新型コロナウイルスの感染拡大が示すように、ウイルスは常に人類に脅威を与えている。感染症を防ぐためのもっとも有効な手段はワクチンだが、開発には時間がかかる。その上、ワクチンを打っても感染を完全に防げるわけでもない。
そこで研究者らが目をつけたのが、アルゴノートと呼ばれるタンパク質。アルゴノートは多様な遺伝子の発現を抑制する働きがあることで知られている。
米マサチューセッツ総合病院は独ハイデルベルクのドイツがん研究センターと合同で、マウスを用い、アルゴノートの抗ウイルス効果を調べた。するとアルゴノート4(AGO4)欠損マウスのみが、インフルエンザなどの様々なウイルスに感染しやすいことが明らかになった。このため、研究者らは体内でAGO4の働きを高めることで免疫システムが強化でき、ウイルスから身を守ることができるとの結論に達した。
研究責任者のジェフリー・カイト氏は、次なる課題は、AGO4がどのようなタイプのウイルスにどの程度作用するかを調べ、ウイルスへの抵抗力強化のためにAGO4の活性を高める方法を解明することとしている。