防衛省は2020年にこの計画を開始させ、5年後の完成を予定している。スプートニクは軍事歴史家である防空軍博物館の館長ユーリー・クヌトフ氏に、電子戦システムはどの程度効果的なのか、日本政府はなぜ今、その技術の実現化に取り掛かったのかについて尋ねた。
クヌトフ氏の考えでは、電子戦システム(EWS)の開発は日本にとって重要ではあるが、それは安全保障上の狭い範囲の問題にしか対応できない。
「ミサイルと基地を行き来する電波の切断は、北朝鮮の核ミサイル開発計画を遅らせることができる。それはこれが北朝鮮政府に物理的な面だけではなく、科学的な被害をもたらすことになるからだ。
北朝鮮軍はミサイルの発射実験をその度、慎重に分析している。これはミサイルの威力向上と目標に正確に到達させる精度を上げる必要があるからだ。しかし、最新の電子戦システム(EWS)を持つロシアや米国はEWSを万能薬だとは考えておらず、防衛戦略においては、より確実性の高いミサイル防衛複合体を信頼している。その複合体とは、ロシアでは2020年にも導入される可能性がある地対空ミサイルS-500。また、米国はTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)、イージスシステム、パトリオットミサイルに望みをかけている。」
日本が開発に着手する電子戦システムは、北朝鮮だけではなく中国にも影響を与える可能性がある。クヌトフ氏は、これが日本政府にどのような結果をもたらすのか説明している。
「北朝鮮のミサイルは自国の基地へのテレメトリーが途切れると、自爆システムが発動し爆発する。そして、その破片は第3国の領土に落下する恐れがある。こうなれば事態はとてもネガティブなものになる。ミサイル燃料の非対称ジメチルヒドラジンは非常に有毒であるため、環境に深刻な影響を与える恐れがあるからだ。だからといって日本に苦情を申し立てる者は誰もいないだろう。ただし中国は北朝鮮政府に何らかの圧力をかけ、環境被害の補償を要求するはずだ。」
日本の防衛省による電子戦システム開発計画は、内政目的を追及したものだとクヌトフ氏は考えている。その目的とは、日本政府が安全保障問題に対処しており、北朝鮮の脅威に対抗するための軍事的手段を持っていることを国民に示すことだと同氏は推察している。