避難指示一部解除に先立って先月20日、同町出身である大沼勇治さんが現地を訪れていた。現在、茨城県に住んでいる大沼さんは、原発から4km圏内にある自宅の様子を確かめるべく、故郷へ戻ってきたのだ。
2月13日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は聖火リレーのルートに双葉町を追加することを発表した。復興のPRが期待できるとして福島県が要望していた。しかし、大沼さんは手放しでは喜んでいない。
「ここで聖火リレーが開催されないことを願っている」と、近くの道路で電柱の修理を行なう作業員を指しながら大沼さんは言う。ゴーストタウンとなった双葉町を通り抜けて、事故の結果7千人の町民が失ったものすべてが伝わればと望んでいた。きれいになった土地を見るだけでは全てを理解してもらえるとは思わない、とロイター通信のインタビューの中で語った。