「パーフェクトストーム」 いつ観光業はコロナショックから立ち直れる?

© REUTERS / Gonzalo FuentesЖенщина в защитной маске у Эйфелевой башни в Париже, Франция
Женщина в защитной маске у Эйфелевой башни в Париже, Франция - Sputnik 日本
サイン
コロナウィルスの感染者数は日ごとに増加し、各国政府はさらなる感染拡大を避けるため、より厳しい措置を余儀なくされている。航空便が運休し、国境が閉鎖されることにより、検疫措置の影響を最も大きく受けているのが観光業だ。スプートニクは、観光業の損失規模はどれくらいか、観光客が再び安心して世界中を旅行できるのはいつになるのか、専門家に話を聞いた。

情報サイトRTによると、中国からの観光客がいなくなったことで、ヨーロッパはすでに10億ユーロを失ったという。世界の観光業全体の損失は220億~730億ドルになる可能性がある。また、大規模な航空便規制は観光業の世界的危機を惹起しかねない。

ロシアの「エクスペルト」誌の金融アナリストであるセルゲイ・マヌコフ氏は、コロナウィルスが今後も拡がり続けた場合、損失はさらに大規模なものになると言う。「この春が終わるまでのコロナウィルスによる観光業の損失を正確に評価することは困難です。なぜなら、まだ状況は進行中だからです。しかし、損失が大規模になることは状況を見れば明らかです。ホテルでは大量の予約キャンセルが相次いでいます。イタリアでは、世界で最も人気の高い観光地であるにも関わらず、すでに大量キャンセルが発生しています。」

パーフェクトストーム

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経済専門家でサンクトペテルブルグ大学アメリカ研究科のグリゴリー・ヤルィギン准教授は、このような状況を表す専門用語として「パーフェクトストーム」があると説明する。「この用語は、個別では完全に壊滅的ではないファクターでも、集まることで大規模な損害をもたらす組み合わせがあることを意味しています。コロナウィルスは観光業の大規模な危機の引き金となる可能性があります。そこには2つのファクターがあります。ひとつめは観光客の自然な選択です。つまり、コロナウィルスに感染する危険性がある場合に、旅行に行くか行かないかという選択です。ふたつ目のファクターは外的なものであり、国による観光客の規制です。どちらのファクターもすでに大きな影響をもたらしています。当然、これらが組み合わさると、観光業に悪影響を与えます。危機のエリアは拡大の一途をたどっており、ワクチンがいつ開発されるのかも明確に分かっていないからです。」

コロナウィルス拡大の中で観光業が直面するもうひとつの合併症は外国人嫌いである。これにはワクチンもない。例えば、ローマの中心部、トレビの泉のすぐ近くあるバーの1つで、オーナーが「国際的な安全対策のため、中国からの観光客はここに入ることを禁止する」と書かれた看板をドアに掲げたのである。

ガーディアン紙はイタリアのメディアの情報として、ベネチアで子どものグループが中国人観光客に向かって唾を吐いたこと、またトリノのレストランでも3人の中国人が侮辱を受けたことを伝えている。

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Прохожие в медицинских масках проходят мимо дисплея, отображающего индекс Никкэй 225  - Sputnik 日本
アジア人は新型コロナウイルスに弱い?専門家らの見解
しかし、そうした「措置」はイタリアが感染症を免れる助けにはならなかった。それどころか、イタリアは現在、コロナウィルスによる死亡率で世界1位となっている。

外国人嫌いの蔓延により、人々は中国系の店舗や中国料理のレストランにあまり行かなくなり、街中ではアジア系の外見の人々を避けて歩くようになった。こうした人種主義的な気運は世界中に広がっている。これが観光客の復活を後押ししないことは明白だ。

人間が病気の間に、環境は回復する?

グレタ・トゥーンベリさんは、今最も人気のある地球環境活動家だ。

武漢市 - Sputnik 日本
新型コロナウイルス要因で思わぬ好影響 NASAが発表
しかし、良い結果をもたらすという意味で最も効果的な環境活動は、思いがけないことに、コロナウィルスの流行だった。ロシア天然資源省社会評議会のメンバーであるセルゲイ・グリバリョフ氏がNASAの研究データを踏まえて述べた。

「中国は、大気中のNOx(窒素酸化物)とSOx(窒素酸化物)の濃度において地球環境の主要な汚染源であり、スモッグは中国の大都市ではお馴染みのものとなっています。しかし、製造業がいくらか停滞し、道路を走る自動車が減ったことで、中国の空は少しだけ明るくなりました。これは気候変動が進む中では、環境にとって大きなプラスです。」

コロナウィルスの拡大を受けて、世界中で多くの人々が旅行を一時休止しており、こうした休止期間も環境にとっては大きな好影響である。というのも、飛行機が離着陸するたびに燃料を燃やした有害な排気ガスが大気中に放出されるからだ。そのため、少しの「お休み」は空にとっては決して悪いものではない。


スプートニクは新型コロナウイルスに関するその他の疑問と回答について別記事でご紹介している。こちらの記事およびこちらの記事をお読み下さい。

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