情報サイトRTによると、中国からの観光客がいなくなったことで、ヨーロッパはすでに10億ユーロを失ったという。世界の観光業全体の損失は220億~730億ドルになる可能性がある。また、大規模な航空便規制は観光業の世界的危機を惹起しかねない。
ロシアの「エクスペルト」誌の金融アナリストであるセルゲイ・マヌコフ氏は、コロナウィルスが今後も拡がり続けた場合、損失はさらに大規模なものになると言う。「この春が終わるまでのコロナウィルスによる観光業の損失を正確に評価することは困難です。なぜなら、まだ状況は進行中だからです。しかし、損失が大規模になることは状況を見れば明らかです。ホテルでは大量の予約キャンセルが相次いでいます。イタリアでは、世界で最も人気の高い観光地であるにも関わらず、すでに大量キャンセルが発生しています。」
パーフェクトストーム
コロナウィルス拡大の中で観光業が直面するもうひとつの合併症は外国人嫌いである。これにはワクチンもない。例えば、ローマの中心部、トレビの泉のすぐ近くあるバーの1つで、オーナーが「国際的な安全対策のため、中国からの観光客はここに入ることを禁止する」と書かれた看板をドアに掲げたのである。
ガーディアン紙はイタリアのメディアの情報として、ベネチアで子どものグループが中国人観光客に向かって唾を吐いたこと、またトリノのレストランでも3人の中国人が侮辱を受けたことを伝えている。
外国人嫌いの蔓延により、人々は中国系の店舗や中国料理のレストランにあまり行かなくなり、街中ではアジア系の外見の人々を避けて歩くようになった。こうした人種主義的な気運は世界中に広がっている。これが観光客の復活を後押ししないことは明白だ。
人間が病気の間に、環境は回復する?
グレタ・トゥーンベリさんは、今最も人気のある地球環境活動家だ。
「中国は、大気中のNOx(窒素酸化物)とSOx(窒素酸化物)の濃度において地球環境の主要な汚染源であり、スモッグは中国の大都市ではお馴染みのものとなっています。しかし、製造業がいくらか停滞し、道路を走る自動車が減ったことで、中国の空は少しだけ明るくなりました。これは気候変動が進む中では、環境にとって大きなプラスです。」
コロナウィルスの拡大を受けて、世界中で多くの人々が旅行を一時休止しており、こうした休止期間も環境にとっては大きな好影響である。というのも、飛行機が離着陸するたびに燃料を燃やした有害な排気ガスが大気中に放出されるからだ。そのため、少しの「お休み」は空にとっては決して悪いものではない。