ランツ氏は、米国の経済が不況から抜け出すタイミングは、ポストコロナから市場がどのように回復するかを決定する最も重要な要因の一つになるだろうと指摘。なぜならパンデミックの影響で多くの企業が閉鎖を余儀なくされ、米当局は前代未聞の景気対策を成立させたからだ。
しかし、ランス氏は米国経済の急速な景気回復に期待していない。同氏は「適切に実行したとしても、回復には時間がかかる。良くて『U字型』の回復になるだろうが、負の要素が信じられないほど組み合わさっているため、V字型の回復には決してならないだろう」と推測している。
ランス氏の結論は、ジョンズ・ホプキンス大学発表の統計によって裏付けられている。企業活動と小売売上高は前例のないペースで落ち込んでおり、米国の3月の工業生産は5.4%減少した。これは1946年初頭以来の急激な落ち込みとなった。
ランツ氏は、米国はすでにパンデミックのピークを乗り越えたと考えているトランプ米大統領の楽観論に賛同していない。さらに同氏は、投資家に対し、自身の長いキャリアの中でみたこともないような危機に慎重に接し、資産の売買を急ぐべきではないとアドバイスしている。ランス氏は「このパンデミックは、米国の生活水準を脅かすだけではなく、我々を第二級の世界大国に位置付ける可能性がある」と警告している。