フィギュアスケートは長年の技術的進歩の最終段階に近づきつつある。男子シングルで残るは4回転アクセルの征服のみ、女子シングルでは4回転ループだと言えるだろう。
来シーズンの男子シングルの最大の関心の一つに、誰が最初に試合で4回転半ジャンプを成功させるか、がある。オリンピックチャンネルのインタビューに応じたブライアン・オーサー氏(カナダ)は、優れた技術をもつ教え子の羽生選手にとって4回転半は問題にはならないと言い切った。「ユヅル(羽生選手)にとって問題は肉体的な準備が整っているかどうか、回転の周りの力を制御する肉体ができているかどうかです。もちろんジャンプの高さも上げなければならない。ということはもっとパワーを必要とする。でも実現可能だと思います。」
羽生選手自身はこれまで何度か、男子シングルの最後の頂上を征服したい、つまり4回転ジャンプ最難関の4回転半を成功させたいと公言している。
同じく4回転アクセルを習得中のアルトゥール・ドミトリエフ選手(ロシア)は、このジャンプの特徴を次のように説明する。4回転アクセルを可能にするのは、回転初期のスピードを確保できた場合のみ。ただし水平方向の助走で得られた高速を、スピードを全く殺さず、身体の回転を伴う上方向へのジャンプスピードにそのまま転換させるのは大変難しいという。