中央銀行の広報がスプートニクに伝えたところによると、現在、出資希望者からの4件の申請書の評価が行われており、売却の方式も検討されている。オークション形式になる可能性も、入札になる可能性もあるという。
1929年創業のアジア太平洋銀行はロシア極東の金融サービス市場における最大級のプレーヤーである。日本や他のアジア太平洋諸国との貿易が最も活発に行われているシベリアと極東をメインに、19の地方に幅広いネットワークを持つ。顧客の資金を保管して増やすという純粋な銀行機能に加え、アジア太平洋銀行は住宅ローンを強化しているほか、伝統的に金鉱業や農林産業の融資にも強い。
アジア太平洋銀行が公的資金注入を受けたのは2018年春のこと。旧株主による疑わしい取引が原因だった。中央銀行はアジア太平洋銀行の資本を90億ルーブルに増強すべく資本注入を行い、救済の理由を、アジア太平洋銀行は幅広い地方ネットワークを有しており、極東ではある程度独占的な地位を占めているためだと説明した。
アジア太平洋銀行の広報は次のように語った。「危機のまっただ中で、すべてが崩れていくように感じられる現状では、とても良い見通しです。」「もしSBIになれば、とても有益な統合になります。というのも、私たちにはずっと以前から日本との取引経験があるからです。日本の25の都道府県にコルレス勘定を開設していますし、この地域の特殊性を踏まえた銀行業務の経験を豊富に有しています。出資者候補が私たちの銀行の魅力的な部分を見出してくれることを期待しています。しかも、監査ではアジア太平洋銀行の2019年の純利益は43億ルーブルを超えており、当行は信頼できる銀行トップ100に選ばれているのです。」
アジア太平洋銀行は自動車輸入、観光、教育サービス、医療サービスの貿易に関連して日本との取引を長年にわたって続けており、これにより日本円での支払いフローは毎年増加し続けている。2019年は2018年比58%増の18億円となった。顧客の日本企業も43%増加し、70社に達した。アジア太平洋銀行は三菱UFJ銀行と三井住友銀行とコルレス関係を結んでいる。
SBIホールディングスはすでに以前からロシアへの出資を行っている。最初の一歩となったのは2011年に出資した「日本ロシア銀行」である。2017年には出資比率を上げて100%子会社化し、それにともなって2018年2月には銀行名を自社ブランドを冠したSBI銀行に変更した。2018年5月には、SBIホールディングスとロシア直接投資基金がフィンテック分野およびバイオテクノロジー分野を対象とした共同投資に関する契約を締結した。SBIホールディングスは2018年9月にソフコムバンクに共同出資し、2020年4月にはロシア最大の決済サービスプロバイダーのひとつであるQiwiグループのフィンテックプラットフォームの20%を取得している。