4回転ジャンプの難度だけではなく、ISU技術委員会ではよく回転不足の問題で意見が分かれている。ラケルニク副会長は、ジャンプ回転不足は「q」マーク導入により、より正確に判定できるようになると語る。「回転が十分なジャンプと不十分なジャンプの評価は点数差が極端で、結果として技術点が大きく変わってくる。違いはとても大きく、完璧に実施できた場合は高得点、反対に回転不足の場合は得点は非常に低い、といったように。一方で、審判は主観であり、問題となることが多い。「q」マークは中間的な評価となり、こういった問題を緩和できるのではないか。「q」マークは、回転が4分の1足りないなど、高難度のジャンプが乱れず実施されたが、技術委員会が完成度に疑問を持った場合に付けられる。選手はこの場合、基礎点は大きく失わず、出来栄え点(GOE)で減点されるのみになる。つまりジャンプの基礎点そのものがゼロ(ノーバリュー)あるいは大きく減点することはない。技術委員会の中で論争はこれからも残るだろうが、「q」マーク新設により、審判の意見の違いが最終得点に与える影響はほぼ半減する。」
スプートニク通信は、ISUは近い将来、トリプルアクセル(3回転半)の基礎点を変えるつもりはないかと訊いてみた。同ジャンプの価値点は他の3回転ジャンプより高いが、4回転ジャンプとの開きは大きい。高難度ジャンプと考えられているにもかかわらず、だ。
「男子と女子では生理学上、また筋肉量に違いがあるものの、トリプルアクセルを跳ぶ女子選手は増えてきている。ただ、今のところ女子のトリプルアクセルの価値点を上げるという話が出たことはない。高難度ジャンプの採点構造がさらに複雑になるからだろう。」
近年の男子シングルでは複数の4回転ジャンプを演技に取り入れる選手が増えている。高難度のジャンプを複数持つことで、ライバルに決定的な差をつけることができる。敢えて言うまでもないが、男子選手で初めて4回転ループを成功させたのは羽生結弦選手で、モントリオールでの2016年「オータムクラシック」大会だった。現在、羽生選手は新シーズンに向けて4回転アクセルを「磨いて」いる。