中国の全人代(全国人民代表大会)が香港に対して承認した国家安全法は欧米政府の批判を呼んでいる。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙に発表した声明の中でジョンソン首相は国家安全法により香港の「自由と自治が大きく制限される」と記し、危機感をあらわにした。
中国政府がこの法律を実際に適用する場合、英国としては香港市民との「深い友情関係、歴史関係を支持するほかない」とし、香港市民の救済に向けてビザ制度を緩和する意向を示した。
Boris Johnson lays out UK visa offer to nearly 3m Hong Kong citizens https://t.co/gTLxgqw35M
— Guardian news (@guardiannews) June 3, 2020
香港では現在、35万の人々が英国の海外市民権(BNO)を所持しており、この市民権を有する香港市民は英国領内に半年間であればビザなしで滞在できる。同制度はさらに250万人が利用可能となっている。
ジョンソン首相は中国政府が香港の自治を制限する場合、英国は入管規制を緩和し、BNOを有するすべての香港市民に対し、12か月間の滞在許可(延長可)と就労許可を含む追加の権利を付与し、英国籍の取得につながるよう支援するとした。
この点についてジョンソン首相は「英国史上最大のビザ制度改革となるだろう」とし、必要とあれば「この道を率先して突き進む」と記し、中国政府の動きをけん制した。
香港でいま何が
中国の全人代(全国人民代表大会)で「香港特別行政区における国家安全保障のための法制度および執行制度の設立および改善に関する決定」法案が採択され、香港の反政府勢力や欧米諸国から強い不満の声が上がっている。
香港国家安全法案には分離主義的活動の禁止が盛り込まれている。消息筋によれば法案は、中央政府の転覆を図るいかなる種類の煽動行為も、テロ行為、国外からの干渉も禁じている。5月27日、米国のマイク・ポンペオ国務長官は米議会に対し、1997年の中国返還の際には適用されていた香港の自治権は、現在はすでにないと報告した。