新型コロナウイルスの流行が始まって以来、SNSやオンラインメディアではビル・ゲイツ氏とその妻メリンダさんが設立したビル&メリンダ・ゲイツ財団がワクチン接種を利用して人々にチップを埋め込み、行動を追跡しようとしているという噂が広まっている。ビジネスニュースサイト「ビジネスインサイダー」によると、ビル・ゲイツ氏は取材に対し「私はマイクロチップに取り組んだことはない。これはあまりにも馬鹿げていて奇妙なので否定するのもほぼ不可能だ」と述べた。
ゲイツ氏はラジオ番組BBC Todayのインタビューで、非科学的な発言やデマは人々の敵意を扇動すると指摘した。同氏は、新型コロナウイルスのワクチンができたら集団免疫を形成する必要がある、つまり人口の約80%にワクチンを接種する必要があるとの考えを示し、「しかし人々がこれを詐欺またはワクチンは有害だと考えて接種を望まない場合、病気は人々を殺し続けるだろう」と述べた。
「ビル・ゲイツ陰謀論」はどこから広まったのか
ビル・ゲイツ氏がワクチン製造に関与しており、利益を得ようとしているという噂が広がり始めたのは1月。
噂を広めた人々は、ゲイツ氏が長年にわたってパンデミックの危険性について警告し、ドナルド・トランプ氏(2016年末)を含む世界の指導者たちにパンデミックの可能性に備えるためより毅然とした措置を講じるよう求めていたことを引き合いに出した。またゲイツ氏は2015年にTED Talkで講演した際にも、疫病が世界的に大流行して驚異的な数の死者が出る可能性について警告している。
さらに、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が新型コロナ対策とワクチン開発に3億ドルを拠出したことも噂が広まるきっかけとなった。