デナルさんの話では、職場ではデナルさんの出社第1日目から「誰も何も意に介せず」の状態だった。オフィスには文具もろくになく、プリンターには紙さえなかった。デナルさんはせっせと文具を買いに走り、それで一日が暮れていった。時には課題が与えられることもあったが、それがまたデナルさんの担当範囲とは全くかけ離れたものだった。
「恥ずかしさをこらえていました。給与をもらっているのに何もしていないのですから。」 デナルさんの苦しむ姿を見ていた同僚は、デナルさんは自殺まで考え、それについて始終口にしていたと断言している。
とうとうデナルさんはオフィスに姿を現さなくなった。そうして通勤しなくなって7か月がたった時、デナルさんは解雇された。そこでデナルさんは損害賠償として36万ユーロ(約4400万円)の支払いを求めた。
これが起きたのは2014年の話だが、世間に知られるようになったのは2年後の2016年。裁判は2020年間で延々と続き、デナルさんは司法の場でも、雇用者側にもインターパルファム勤務時代にいかに辛い思いを味わってきたかを訴え続けた。
企業側はつまらない仕事とはデナルさんは苦情を言わなかったと主張し続けたが、裁判官は原告の側につき、企業に5万ユーロの賠償金(デナルさんは36万ユーロを請求していた)支払いを命じた。
仏労働法の規定では、被雇用者の提供するサービスが作業プロセスの刷新で不要になったとしても、雇用者はそう簡単に社員を解雇できない。このため多くの被雇用者は自分の方から辞職を願い出ない限り、延々と意味のない課題に取り組まされる。
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