今日、天体観測にはたくさんの障害が存在する。現在、都市やインフラの照明は、夜空の多くの星々の光よりも明るく、乱気流が強まることで埃が障害や歪を作り出している。そのため、最新の地上の気象台は、アクセスが困難で人口が少ない場所、たとえば、砂漠や火山の傾斜地といったところに建てられ、かつできるだけ高い場所に設営されている。しかし、オーストラリアと中国の研究者グループは、南極地域にはまだ天体観測にとってもっとも有益な氷の丘陵アルゴスがあることを解明した。
研究者らは、「崑崙山脈」の極地観測所の中国人エンジニアが開発した天体望遠鏡のテストを受け、こうした結論に至った。この観測所は氷の丘陵アルゴスの近くにあり、南極大陸でもっとも高く(海抜4000メートル)、もっとも寒い(最低気温マイナス98度)地点に位置する。8メートルの格納式マストに設置された2つの天体望遠鏡の利用により、研究者らは2年間で約4万5000回天体画像を撮影した。これらは、ハワイやチリの高地の天体望遠鏡で撮影されたものよりも画像が優れていた。
大気がクリーンであることやアルゴス丘陵上部の大気の層が薄いことに関連し、南極大陸のこの地に設置された2.5メートルの天体望遠鏡は、地球の中緯度に設置されたもっとも大型の6メートルサイズの望遠鏡よりも優れた画像を撮影することができる。