中国内外の専門家らは、中国経済の展望をめぐって、何度も懸念を表してきた。新型コロナウイルスの感染拡大によって引き起こされた現在の世界的な危機により、世界の需要は大幅に減少した。今回の危機的状況は、これまでのものとは異なり、経済的な原因によって生み出されたものではなく、コロナによる状況を収束させることができれば、打開できるかのように思われる。しかし一方で、中国は他の国よりもうまくコロナウイルスの危機から脱したにも関わらず、外国からの需要が少ないことは、輸出を中心とした中国の経済発展を脅かす、主な不安定材料となっている。
一方で、今回の貿易に関するデータは、輸出を軽視できないことを示している。ロイター通信の質問に答えた専門家らは、8月の輸出の増加を7.1%、輸入の増加を0.1%と予想していた。しかし結果的に、輸出は9.5%成長し、輸入は予想をはるかに下回り、2.1%の減少となった。また中国の8月の貿易収支は589億3,000万ドル(およそ6兆2,424億円)となった。もっともこの数字は7月の貿易収支(623億3,000万ドル)よりははるかに低いものとなっている。
これは、中国が旧来の発展モデルから脱却し、国内消費に切り替えることができないということを意味するのだろうか。中国国際問題研究所世界経済発展センターの姜躍春所長は、すべての原因はコロナウイルスの感染拡大にあるとの見方を示し、中国は輸入を拡大させたいと考えているが、コロナウイルスの感染拡大をコントロールできない国々が中国の需要を満たせずにいると指摘する。
中国は「世界の工場」であり続けている。国連統計部のデータによれば、2018年、中国は世界の製造業の28%を占めた。この春、中国がロックダウンを実施しているときに、アップル社など世界の製造業社が自社製品の生産台数の減少を予想したのもうなづける。
また、コロナウイルスの感染が広がる中、中国は医薬品および個人防護具の輸出において、世界でも主要な国となった。今年、中国はこれらの商品の輸出高をほぼ3倍に増加させ、中国の輸出増加の牽引力となった。中国は3月から5月までのわずか2ヶ月で、706億枚のマスクを輸出した。ちなみに昨年、全世界で製造されたマスクの数は200億枚となっている。
中国の輸出量は多くの要因に左右される。多くの国は依然、生活必需品の輸入を中国に頼っている。中国の専門家の一人は、従って、世界の供給連鎖が再構築されない限り、中国の輸出は増え続けるだろうと指摘する。
「長年、中国は世界の工場として、生活必需品を大量に生産してきました。国際貿易において、中国は生活必需品の大部分を担っています。ですから、多くの国が依然、そうした製品の確保を中国に頼っています。米国も例外ではありません。西欧諸国は産業および製造の構造改革を行うとしていますが、短期的展望でなんらかの成果を出すのはかなり難しいと思います。供給連鎖というのは長年かけて形成されてきたものだからです。そして世界の供給連鎖が完全に変わらない限り、他の国々は生活必需品に対して、中国に依存し続けることになるのです。ですから今後も中国の輸出は増加し続けるでしょう」。
中国の輸入は自由市場の条件の下で、より増加する。外交関係の悪化は中国を技術分野で孤立させることになる。パートナーを信頼できなければ、自国の力に頼るほかないのは自明の理である。