サムスン電子とSKハイニックスはすでに米商務省に対し、ファーウェイへの半導体の供給継続の許可を申請しているが、これが聞き入れられる可能性は限りなく低いと見られている。
韓国貿易協会の統計によれば、今年1月から7月までの韓国製の半導体の輸出高は547億4,000万ドル(およそ5兆7,400億円)で、そのうちの41.1%(224億8,700万ドル)が対中国、20.8%が香港(113億7,500万ドル)となっている。香港への輸出品の一部がその後、中国に輸送されることを考慮すれば、中国向け輸出量はさらに大きいということになる。また同じ時期における、中国向けのインジケーターパネルとセンサーの輸出は、韓国の輸出量全体の43.7%となっている。
15日、韓国の聯合ニュースは、韓国の業界アナリストの見解として、ファーウェイに対する1年の制裁による韓国半導体メーカーの損失は10兆ウォン(およそ8,820億円)に達する可能性があると報じているが、これは2019年の半導体輸出量全体のほぼ1割に相当する。
サムスン電子もSKハイニックスも、スマートフォン市場におけるファーウェイの競合企業となっていることから、今後、短期的な展望で、この指標を部分的に改善する可能性はあるのだろうか?
LG経済研究院のシニアアドバイザー、リー・ジピョン氏は、スプートニクからの取材に対し、次のように述べている。
「米国による、ファーウェイへの半導体輸出の制限措置は、日本の半導体企業にも打撃を与えることになり、その損失は1兆円を超えるとされています。そこで、日本政府は米国と中国の対立が収まることを強く期待しています。とはいえ、当分は日本企業も韓国企業も、損失が続くことになるでしょう。しかしながら、日本と韓国の企業が、ファーウェイが持っていたスマホ市場のシェアを取り込むことができれば、半導体の需要を拡大させ、スマホの売上を伸ばせることから、長期的には、半導体輸出による損失を補填することができるでしょう。またこの状況をさらに広く見るならば、同じくスマートフォンを製造するLGエレクトロニクスがこの競合に加わる可能性があります。LGディスプレイ社もまた米商務省に、ファーウェイ向けの製品の輸出の許可を求める文書を提出していますが、ディスプレイは半導体ほど主要な要素でなく、かなり広く普及した製品であることから、これについては許可がおりる可能性があります」。
リー氏は、ファーウェイに対する米国の立場が軟化するとは考えにくく、米国の制裁を回避する方法は見つからないだろうとの見解を示し、さらに次のように述べている。
そこで、韓国も、そして新たな日本の政府も米国路線に従うしかない状況となっているという。リー・ジピョン氏は続けて次のように指摘する。
「外交、安全保障の観点から言えば、米国は韓国と日本との同盟関係を中国に対抗する手段だと捉えています。韓国政府と日本政府はこれを無視することはできません。ですから、ファーウェイに対する米国の制裁に反対する立場を取ることは非常に難しいでしょう。こうした状況から判断して、日韓両国は経済的な損失を最小限に止めるために最大限の努力を強いられることになりますが、最終的には米国と中国の関係が改善されることを期待するよりほかないのです」。
これより先、日経アジアンレビューは、日本の半導体企業はすでに米国の制裁による損失を補填するため、顧客企業の拡大に向けた作業を開始したと伝えた。また米国の制裁を受けて、ソニーは3カ年の累積設備投資額を4億7,000万ドル(およそ493億円)減額した。もっとも、日本企業の中には、韓国の企業と同様に、米商務省にファーウェイへの輸出許可を求める申請を行った企業もある。
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