軍事アナリストで、ロシアの防空博物館のユーリー・クヌートフ館長は次のように述べている。「いわゆる“核の傘”と呼ばれるシステムは専ら米国に依存しています。迎撃ミサイルが敵の弾道ミサイルを撃ち落とすために2つの衛星が使われます。1つは弾道弾早期警戒衛星、もう一つは通信衛星です。つまり、MDシステムが効果的に機能するためには強力な衛星が複数必要なのですが、日本にはそれだけの衛星システムがないため、万が一、日本が独自のミサイル防衛システムを構築したとしても、米国との緊密な協力関係は維持されることになるでしょう」。
「米国はイージス・アショアのために、現在すでに米軍に配備されている艦船の改良を目的とした新たなミサイルとステーションの開発に全力を注いでいます。そして結果的に、これらを新たな質のものとして同盟国に提案するのです。海上配備型迎撃ミサイルの利点の一つは、想定しうる敵の領土のかなり近くに位置することができるという点です。たとえば、国際水域に配備し、そこから直接、敵の領土に攻撃し、ミサイルを撃ち落とすことができるのです。米国の新型THAADミサイルも現在、新たな実験の段階を迎えています。一方、ハイテク国家の日本は、新たな物理上の原則に基づいた兵器を開発するなどして、日米軍事協力に独自の貢献を果たせる可能性もあります。たとえば、離陸の段階での弾道ミサイルの撃墜が可能な戦闘機に搭載できるレーザー装置などです」。
先に、日本は第5世代ジェット戦闘機F–35の開発プロジェクトへの正式な参加に関心を示していた。
「現在、2つの方向での開発が同時進行しています。対衛星防衛と、発射の過程で弾道ミサイルを撃墜することが可能な新型の空対空ミサイルを配備したミサイル防衛です。日本はこれを目的に、まもなく開発される空対空ミサイルを搭載できるF–35、あるいはF–15、F–18といった戦闘機を利用することができます。つまり、ミサイル迎撃システムは地上、海上だけでなく、空中にも配備できるということです。米国はこの開発を強化しており、かなり短期間(3年から5年)のうちにこれらが誕生する可能性は否定できないと思います。そしておそらく日本もまた、自衛隊にこれら空対空の防衛システムを備えることを検討しているでしょう」。