数日前、武藤敏郎JOC事務総長 は、大会簡素化のための50項目以上をリストアップしたことを明らかにした。簡素化はインフラにも、試合のみならずイベント、式に関わる人員の大幅削減にも及ぶ。武藤氏は実際にどの役員が招待されないかについては言及しなかったものの、削減対象は外国からの代表団団員からサービス分野の人員まで広範になる可能性がある。
日本は最新のスポーツ・インフラ建設を約束し、開幕にあたって福島第1原発の事故の影響は一切ないと断言して、五輪招致権の獲得を執拗に続けてきた。日本の持つ財政的、技術的なアビリティの他に 15億ドルを投じたザハ・ハデォッド氏のデザイン監修による新国立霞ヶ丘競技場や東京湾の刷新など目立つ事例が続き、これに加えて2013年9月、ブエノスアイレスでの最終プレゼンテーションでIOCメンバーを前に安倍前首相、憲仁親王妃久子のおふたりが英仏2か国語で行った説得力ある演説が決定打となり、日本はトルコ、スペインを押しのけて招致権を獲得した。
ところがコロナウイルスの世界的な感染蔓延は日本だけでなく、スポーツ選手らの計画も台無しにしてしまった。なぜなら選手らはこれによって出場年齢が1歳繰り上がってしまうからだ。スポーツにおいては年齢は非常に大きな意味を持つ。
「組織側が支出を減らそうと躍起になることは当然だろう。今の段階の支出は日本の監査では、開催中のコロナ感染防止の追加支出を入れないで、すでに220億ドルに上っているからだ。ところが大幅な支出削減を実現するのはかなり難しい。スポンサーとの契約はほとんどが締結済なのに、プログラムは縮小され、250項目になっていたのがIOCにお伺いを立てた後、さらに52項目まで縮められてしまった。しかも日本にとっての風評リスクはもう現実のものとなった。ワクチンがどんなに効果を発揮し、大多数の国が国境を開いたところでインバウンドを完全に回復させることはもう無理だろう。」
JOCはボランティアにとった世論調査の結果を発表したが、それによると回答者の80%が来夏に延期されても五輪で働きたいと変わらぬ意欲を示している。9月22日、IOCのトーマス・バッハ会長は菅新首相と東京五輪の実施準備へむけたスケジュールを話し合う構えを表している。