この数値は日本の誇りだ。なぜなら寿命の長さは遺伝子、バランスの取れた食べ物、健康的な生活スタイルにと、生活水準、万人に手が届く高度な医療、薬理学、社会での高齢者へなんらかの働きをポジティブに表した結果だからだ。ただしどんなメダルにも善悪両がある。2019年、日本の予算の健康保健の支出は43兆6000億円にも達した。一方で75歳以上の後期高齢者の医療費は平均で95万2000円。これは75歳以下の市民の平均支出の22万6000円を4倍上回る。しかも自力では自分のケアができない高齢者にかかる費用は、これには含まれていない。
学者らは、年金受給者人口がこの先増加の一途をたどるのであれば、2040年までには人口の35.3%が年金者となり、出産率の低下を背景にこれは経済にきつい影響を及ぼしかねないと予想している。政府は健康保健、年金給付により一層の支出を迫られるため、財政システムに大きな圧力がかけられてしまう。
しかも日本の高齢者は世界に名高い日本の「ワーカーホリック」の伝統を守り続けていることがわかった。日本生命が8月に行ったオンライン世論調査では日本人の64%が年金受給年齢後も働く意思を示しており、11.7%はなんと75歳以降も働き続けたいと意欲満々だった。
ロシア人社会学者、人口動態学者のイーゴリ・ベロボロドフ氏は、高齢化が問題となるのは健康に問題があり、知識不足または文盲から活発な労働活動を続けらることができず、これが保健システムや社会全体に重荷になる場合だとして、次のように語っている。
「社会の高齢化現象がグローバル規模で進んでいるのは出産率が低下し、子沢山家庭のケアが進んでいないからです。以前は、年金生活に移行した人々の空席はすぐに若い人たちが占めていましたが、現在は若者、子どもの数はますます減っています。このため国家も社会も高齢者自身もできるだけ長く労働に従事するかに関心があります。