2018年10月、韓国の最高裁にあたる大法院は、1910年から1945年にかけての日本による朝鮮半島植民地化時代、新日本製鉄のために労働した韓国人4人に損害賠償の支払いを命じた。しかし、日本政府は、これらすべての問題は、日本と韓国の国交が正常化した1965年に結ばれた日韓基本条約で完全かつ最終的に解決済みだとして、これに断固反対している。これに対し、韓国は差し押さえ株式の現金化を開始、今年8月に事実上、完了した。最高裁の決定に従い、韓国内にある日本製鐵の株式8万株の売却が可能となったが、日本はこの決定に反発している。
2019年、日本政府は半導体材料の韓国向けの輸出規制を強化したが、これにより両国関係はさらに悪化した。
ロシア科学アカデミー東洋学研究所のオリガ・ドブリンスカヤ研究員は、「スプートニク」からの取材に対し、もし韓国が現在のような態度を取り続ければ、これは日本のプライドを傷つけるものとなるだろうと述べている。「菅首相は、すでに10月初旬に、韓国に対し、新日本製鉄の資産を売却しないという確証がない限り、首脳会談には出席しないと通達していました。菅首相は、まだ外交活動の一歩を踏み出したばかりで、前任者ほどの経験を有していません。
しかし、韓国が、自らが植民地時代の日本の行いに対する補償を要求しないと約束し、日本が主な論拠としている日韓基本条約(1965年締結)を無視するのはなぜなのか?これについて、ドブリンスカヤ研究員は次のように説明している。 「韓国は、当時はまだ韓国という国が弱く、積極的な発展の道を歩み始めたばかりだったために、日本に正当でない条件を押し付けられたと考えています。しかし、韓国はより強大な国となり、経済のいくつかの分野では日本を追い抜くほどとなったことから、歴史的正当性という名の元に行動していると考えています。こうした状況が、隣り合う日本と韓国双方の世論に否定的な感情をこれまでにないほど高めていることは悲しいことです。しかも、日韓の政治的対立は貿易経済関係にも大きな痛手を与えています」。
日本と韓国が重要な経済パートナーであるばかりか、軍事政治分野におけるパートナーであることを考慮すれば、日韓関係は北東アジア全体の政治、経済の機運にも影響を及ぼすものである。
なお、日中韓首脳会談は経済協力およびさまざまな地域問題、国際問題を話し合う場として、2008年から毎年行われている。昨年2019年12月には中国の成都で実施され、今年はソウルで開催されることになっていた。