すべての小惑星は熱平衡を維持するため、太陽光から吸収されたエネルギーを熱として再放射する。この熱放射により天体の軌道が変化することをヤルコフスキー効果と呼ばれる。今回、アポフィスの観測結果からヤルコフスキー効果が検出され、アポフィスの軌道が1年で170メートルずつ遠ざかっていることが分かった。
研究者らは、ヤルコフスキー効果が検出される前まではアポフィスが2068年に地球に衝突する可能性はあり得ないと予測していたが、今後は衝突の確率を精査するためにさらなる観測が必要だとしている。
2004年に発見されたアポフィスは、直径325メートルの小惑星。エジプト神話に登場する悪と破壊の神にちなんで名付けられた。研究者らは以前、アポフィスが2029年に地球と衝突する確率は2.7%と算出していた。しかし、アポフィスは2029年4月13日に地球の中心から3万7600キロの位置に接近することが分かり、この年に衝突する可能性を除外している。
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