求人と求職の関係をあらわす有効求人倍率も9か月連続で落ちている。ポータル「Asia Times」の6月版によれば、厚生労働省の調べでは、2020年5月、求職者100人に対して120件の求人があったが、その前の4月には求人は132件あった。現在この指標は1.03ポイント、つまり100人の求職者に対して103の求人がある。 これは過去およそ7年で最も低い水準だ。建設、ホテル、観光、レストラン、娯楽レジャー業などのセクターでは求人率は30%以上も下がった。
失業はどんな人間にとっても精神的に大きな打撃だが、今の失業率は日本経済にとってどれだけ深刻な影響を及ぼすものなのだろうか。
経済人口動態のロシア人専門家、アレクサンドル・デミドチク氏は日本の労働市場の状況は多くの点で他国よりも良いとして、次のように語っている。
「米国などのような経済大国で新たに何百万人もの失業があるなかで、日本はパンデミックの経済的なカオスを回避できたようです。毎月の指標ではなく、世界銀行や国際労働機関(ILO)がするように年間指標を見た場合、日本の雇用は一連の諸国に比べれば、ここ数年比較的安定したレベルを保っています。
2019年のデータでは、日本の失業率は2.29%で世界182か国で26位。一方で米国は3.68%、英国は3.85%、韓国が4.15%、中国は4.32%、ロシアは4.59%、仏は8.43%、イタリアは9.89%です。2020年の指標はおそらく格段に悪化するはずです。先日、日本政府の調査グループが発表した労働人口の予測では、2040年までにさらに40%減少すると出ています。」
スプートニク:失業率が高いのに日本は外国人労働者をこぞって招き入れようとはしていません。これに矛盾はないのでしょうか?
アレクサンドル・デミドチク氏:日本人は会社に長時間の通勤にも耐え、仕事のために住んでいる場所を変えることも厭わないと日本人は機動性が高いにもかかわらず、人口の高齢化 を背景とした出生率の低さから労働力は未だに大きく不足しています。この不足で安定した発展がしにくい企業、産業部門もあるのです。国際通貨基金(IMF)の試算では、2030年までに日本の年金受給者数は57%にまで膨れ上がります。外国人労働者の誘致もこの状況からの脱却策ですが、このプログラムには制限も少なくありません。そのひとつが雇用の場です。こうした場所は高い技能が要されず、給与も高くありません。例えば老人、病人の世話です。こうした場で働く人々には日本語教育を施し、日本の生活規範を教え込まねばなりません。」