チベット高原は、その氷の量の多さから、地球の「第3極」と呼ばれる。しかし1950年代から、地域の気温は平均1.5℃上昇しており、その結果、チベット高原最大の20平方キロメートルもある氷河は7%も減少した。恐ろしいことに、氷河の厚みにするとおよそ13メートルも消滅したことになる。
実際、この地域では、雪や雨が以前よりはるかに少なくなっている。そこで、氷が融解しているにもかかわらず、地元の農家では、植物の栽培や動物の飼育に必要な水が不足する事態に直面することがある。
これについて、シャラフトジノフ氏は、雨や雪が少なければ少ないほど、氷河は早く崩壊すると説明する。つまり、逆に言えば、固体降水の量が増えれば、氷河は拡大するというのである。
たとえば、ヒマラヤ山脈の一部であるカラコルム山脈の巨大な氷河は大きくなりつつある。北極、南極、高山の研究をテーマにした雑誌「Arctic, Antarctic, and Alpine Research」で発表された調査によれば、カラコルムの氷河は融解していないばかりか、安定して拡大しているという。
またアルタイ山脈の氷河マーシェイも同様に、2014年以降安定して拡大している。
さらに、シベリア連邦大学の研究者たちも現在、調査を行っているもう一つの理由があるという。
森の生態系からは大量の水が蒸発し、これが「雲を大きく」する。雑誌「ネイチャー」の記事によれば、数年前、研究者たちは、水の蒸発の90%はこのプロセスによって行われているとの結論を導き出している。
中国科学院のデータによれば、1990年から2010年にかけての氷河の後退は1956年から1990年と比較し、50%も加速した。これにより、甘粛省敦煌市付近では、過去300年で初めて、山から流れ出た水により砂漠に湖が出現した。
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