11月9日、ファイザー社はワクチンがCOVID-19に対して95%の有効性をを示したと発表した。モデルナ社も16日、自社開発のワクチンの有効性を94.5%と発表している。ファイザー、モデルナ両社のワクチンともメッセンジャーRNAを基にしている。つまりウイルスのS蛋白の製造のためにリボ核酸がドローイングの役割を果たしている。
11月11日、ロシア開発のスプートニクⅤワクチンは治験第3フェーズにおいて92%の有効性を発揮した。スプートニクⅤは通常、感染を招くヒトのアデノウィルス・ベクターを使用している。これはコロナウイルスの突起から採られた遺伝子をヒトの細胞に届ける運び屋の役目を果たす。この技術は過去数十年にわたって広範に用いられており、1000万人以上のワクチン被験者の参加した試験で安全性が示されている。
22日に同じく安全性が確認されたと宣言したアストラゼネカ社のワクチンもまた、アデノウィルスのベクターを基にしたワクチンに分類されるが、この場合にベクターの製造に用いられているのはヒトではなく、チンパンジーのアデノウィルスだ。
チンパンジーのアデノウイルスを使うという決定は、ヒトのアデノウイルスに対する既存の免疫を克服を促す方策ではあるものの、ワクチン製造のためにヒトの物とは異なるチンパンジーのウイルスをベクターとして使用するのは史上初の試みとなるものだ。
この技術の安全性を示すことのできるような、長年にわたる研究は一切行われていない。これがアストラゼネカのワクチンの信頼性に影を落としており、副作用の恐れを憂慮させている。また動物のウイルスが人体に多くの病を引き起こしうるという、まだ解明されていない要因も不安材料となっている。
英マーケット調査会社「YouGov 」が最近、世界の総人口の30%が居住する11か国で行ったワクチンについての世論調査では、ヒトのアデノウィルスから作られたワクチンとチンパンジーのアデノウィルスを基にしたワクチンのどちらを摂取したいかという説問に10人のうち9人がヒトのアデノウィルスを選んでいる。