訪日では日中両国は、パンデミックの収束を待つことなく、ビジネス関係、ビジネス往来を迅速に復興することで合意した。だがそれにもまして殊に注目に値するのが王外相訪日の第1日目に、日中が空海での紛争を予防するために両国の国防省間で緊急用のチャンネル開設を決めた事実だった。
これはつまり、日本は戦略的同盟国の援助をこれ以上あてにせず、パートナーに隠れ、自国だけでマスコミを騒がすことなく隣国との焦眉の問題を解決できると思っているということなのだろうか?
ロシア科学アカデミー世界経済国際関係で日本経済政治グループを率いるヴィタリー・シュヴィトコ氏は、この問に次のように答えている。
「日本は、ホワイトハウスの正式な政権移譲を待つことなく、中国との独自の外交作業を開始し、路線を修復して第一に共通の経済的な関心に重点を置きました。4月、習国家主席の訪日が行われるはずでしたが、パンデミックで延期となりました。ですから日本は、米国の注意と圧力を回避することが可能な今、最高レベルでのコンタクトを復活させようとしているのです。」
米国の大統領選挙戦の段階ですでに、両候補者ともが中国の世界拡張と戦うと約束を掲げていた。シュヴィトコ氏は、中国抑止では米政権は当然ながら日本の連帯を期待していると指摘している。
「日米間のベーシックな戦略関係は温存されています。ですが現在の米国の政権移行期が日本には一種の自給自足状態を与えたおかげで日本も中国も地域における政策の独自のバリエーションを策定するチャンスが出来ました。だから王毅外相の訪日は外交上の諜報活動であり、経済、パンデミック対策など、互いを結び付け、また逆に意見を異にするところもある問題での互いの立場を、ある意味で政治的に探る行為なわけです。先日、ハノイで調印された東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は日本も参加していますが、これも間違いなく両国の接近を示す兆候です。」
ルジャニン氏は、米国は自分の方からは自由で開かれたインド太平洋戦略から手をひくつもりはないと指摘している。同戦略は隠れた反中的性格を持つものであり、それがゆえに日中二国関係の「制限役」になりうる。