中国の弾道ミサイルが艦艇に命中するようになった。太平洋での新たな軍拡競争か

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中国に新たな海軍兵器が登場した。この兵器は対艦ミサイルとして大きな優位性を持つ可能性がある。中国のミサイルは実験で移動中の艦艇に弾頭を命中させた。2020年8月26日、DF-26BとDF-21Dの2つのミサイルがパラセル諸島(西沙諸島)の水域で標的に命中した。海から遠く離れた大陸から発射されたミサイルで艦艇が攻撃されたのは、おそらくこれが初めてのことである。DF-26Bは青海省から発射され、飛翔距離は約3500キロメートルだった。

中国は海軍兵器の開発で大きな一歩を踏み出した。これは海上戦の条件を大きく変える。アメリカの空母群が戦闘地域に近づく段階で、かなりの遠距離から攻撃され得ることになるからだ。艦艇を攻撃できるこの弾頭は、地上発射型および海上発射型の幅広い中国製弾道ミサイルに装填することができ、潜水艦から発射することも可能だ。ミサイル攻撃は突然のものになる可能性がある。対艦ミサイル防衛では、発射装置である航空機、艦艇、または地上発射装置の追跡と攻撃が最善の戦術である。しかし、今回の兵器の場合、発射装置は遠く離れた中国大陸部のどこかに位置し、地下に隠されていて、攻撃の手は届かない。

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通常、こうした弾頭は偵察衛星のデータをもとに標的に誘導される。しかし、このデータだけでは動く艦艇を攻撃するには不十分だ。このタイプの弾道ミサイルの飛行時間は約15分。30ノットで移動する艦艇であれば、この間に、衛星が計算した位置よりも10キロメートルも離れてしまう。そのため、通常の弾道ミサイルは移動する艦艇に命中させられない。命中させたければ、弾頭が落下する最後の区間で、弾頭が自ら標的を補足し、軌道を修正しなくてはならない。

中国の設計者はこの課題を解決した。中国のデータによると、DF-26B弾頭はマッハ12~18(秒速4.1~6.1キロメートル)の極超音速で操縦することが可能だ。このような高速であれば、弾頭が艦艇に衝突するだけでも巨大爆発に相当する衝撃をもたらす。弾頭の重量が約500キログラム、速度が上記の通りであれば、衝突のエネルギーはTNT換算で905~2038キログラムに相当する。これは500キログラムの航空爆弾を大幅に超える。

これはすなわち、空母の分厚い鋼鉄の飛行甲板を貫通し、熱された弾頭の破片が甲板の下にある格納庫の航空機、航空燃料、ミサイル、航空爆弾を破損させることを意味する。爆発が起き、大火災が発生する。空母は大きく損傷し、少なくとも造船所で長期間にわたる修理が必要になるだろう。アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦であれば、完全に貫通してしまうだろう。

中国製弾道ミサイルの新型弾頭については、まだほとんど情報がない。TNT換算で3~15キロトン程度の低出力核弾頭の可能性は十分にある。空母内での核爆発は間違いなく空母を完全に破壊するだろう。乗組員は全員死亡し、形を失った破片が海底に沈んでいく。

アメリカに対抗策はあるのか?

弾頭が内蔵誘導システムで艦艇を補足して飛んでくる場合、迎撃することは不可能だ。弾頭は流星のごとく、100キロメートルを10~12秒で飛翔する。しかし、弾頭が宇宙空間にいる間に迎撃できる可能性はある。

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2020年11月、米海軍は演習を行い、イージス弾道ミサイル防衛システムを備えたUSS John Finn(DDG-113)から発射した迎撃ミサイルで、初めて弾道ミサイルを宇宙空間で迎撃した。このように、アメリカ海軍はミサイル攻撃に対してまったく無防備なわけではなく、最も重要な艦艇をミサイル攻撃から守ることができる。イージス弾道ミサイル防衛システムを備えた駆逐艦を空母の前方300~400マイルにミサイル防衛線として展開すれば、中国の弾頭が大気圏に入る前に宇宙空間で迎撃するチャンスはある。

中国と米国のミサイル競争が始まった。中国はアメリカの空母を深刻な脅威と捉え、艦艇を攻撃できる長距離で高精度の手段を開発している。アメリカはミサイル攻撃からの防衛手段を開発している。どちらが覇権をとるかは、まだ分からない。中国は多数の弾頭ミサイルに新しい弾頭を装填し、一斉発射でアメリカと同盟国の海軍を攻撃することができる。しかし、アメリカと日本を含む同盟国にはイージス弾道ミサイル防衛システムを備えた艦艇が数多くあり、迎撃ミサイルも多くある。一斉ミサイル攻撃は理論的には迎撃できる。このミサイル競争には多くの力と資金がつぎ込まれている。これによって、どちらが太平洋の覇権をとるかが左右されるからだ。

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