オンラインで過ごした年 2020年に起きた印象的な出来事

© AP Photo / Mark Schiefelbein2020年
2020年 - Sputnik 日本
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2020年は多くの人にとって悲惨な年となった。世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスによって医療体制が崩壊の危機に直面し、オリンピックなどのスポーツ競技大会は中止または延期され、そして前例のない規模で観光客数が減少した。この状況から利益を得ることができたのは、ITおよびオンラインビジネスなどの限られた分野のみだった。この困難な2020年を耐え抜き、さらなる成功を収めた企業などについて、「スプートニク」がお伝えする。

新たなヒーローたち

パンデミック下では、ウイルスとの闘いで人々の命を救っている医師などの医療従事者の他に、オンラインサービスも不可欠なものとなり、ロックダウン中にその利用者たちに慣れっことなっていたいつもの生活を提供した。多くの国において、外出が危険であるだけでなく完全に禁止されたとき、SNSとオンラインサービスはインターネット上のユーザーの生活を便利かつ興味深いものとするためにできる限りのことをした。

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生活のオンライン移行で大成功を収めたのは、Zoomだった。このビデオ会議サービスは、多くの企業がリモートワークに移行した後、広く普及した。利用者の急増は数字にも表れた。4月上旬、Zoomは米国で最もダウンロードされたモバイルアプリとなり、時価総額は500億ドルを超えた。

一方、急激な負荷に対処し、必要なセキュリティレベルを提供するための力量がなかったため、数千人のユーザー情報がインターネット上に流出し、多くのスキャンダルを引き起こした。

新たな利益と寄付

商品の販売や配送、オンライン送金などのサービスを提供するIT企業もコロナ禍で利益を得た。英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズは、パンデミック下でさらに繁栄したトップ100社にジェフ・ベゾス氏が率いるアマゾンを加えた。同ランキングでアマゾンは1位に君臨、パンデミックの追い風でアマゾンの時価総額は4000億ドル増加した。アナリストらによると、このようなテンポで成長した場合、ベゾス氏は2026年までに初の1兆ドル長者になる可能性がある。ランキングで2位のマイクロソフト(2700億ドル増)も同じような状況だという。

新型コロナの世界的大流行は、生活のオンライン化を加速させ、それは特にエンタテインメント業界に大きな影響を与えた。大規模な「ライブ」イベントが禁止された状況の中で、多くのアーティストやイベントを企画する企業がファンたちとのつながりを維持する方法を見出した。例えば、オンラインコンサートは特に人気となり、前例のない規模に達した。米国のDJ、マシュメロ(Marshmello)は2月、オンラインゲーム「フォートナイト」内で初のヴァーチャルライブを行い、約1000万人が視聴した。

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韓国の男性グループ「BTS(防弾少年団)」もオンラインコンサートを開催し、視聴者数で世界記録を樹立した。BTSのオンライン公演に75万6000人が「参加」した。実際に観客を入れてコンサートをした場合、約5万人収容のスタジアムが15個必要となるため、ライブ形式でこのような規模のコンサートを行うのは単純に考えて不可能だ。BTSはコンサートの後、コロナとの闘いに100万ドルを寄付した。

オンラインコンサートの収益の一部を寄付することも2020年の一種のトレンドと見なすことができるだろう。今春には慈善団体Global Citizenと世界保健機関(WHO)の共催で、コロナウイルスと闘う世界中の医療従事者の支援を目的とした8時間のオンラインライブ「世界はひとつ:ともに家ですごそう(One World: Together At Home)」が行われ、世界のトップスターたちが出演した(レディ・ガガ、ビリー・アイリッシュ、ジェニファー・ロペス、キラーズ、テイラー・スウィフト、スティービー・ワンダー、セリーヌ・ディオン、エルトン・ジョン、マシュー・マコノヒー、オプラ・ウィンフリー、ミシェル・・オバマ、サラ・ジェシカ・パーカーなど)。

「現在の状況が長引けば長引くほど、ネットフリックスの利益は大きくなる」

動画配信サービスもコロナの感染拡大で利益を受けた。ニューヨーク・マガジンは、ネットフリックスなどのストリーミングサービスについて、パンデミック前は競合他社からの圧力にさらされていたが、誰もが外出を控え、テレビでスポーツが放送されず、多くの番組が制作を続行できなくなったことで、顧客は契約して巨大な「バックカタログ」(ネットフリックスが制作したものではないが、会員が利用できる映画やドラマ)から視聴したいものを探す傾向にあるとの見方を示している。

実際に、第1四半期末までにネットフリックスの全世界の会員数は前年同期比23%増の1億8300万人に達した

新しい趣味

2020年のパンデミック下において主要なSNSとなったのが、ティックトックだ。春の初め、中国での新型コロナウイルスとの闘いや隔離生活についての動画がティックトックに投稿されるようになった。

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ウイルスの感染拡大につれ、人々は自宅で過ごすようになり、通常の生きた交流が不足し始めた。この状況にティックトックはうってつけだった。レコメンデーションシステムを使って選ばれた15秒の短い動画は、はじめに世界中の若者、続いて大人たちの人気と関心を獲得した。ティックトックは無名の中国製アプリから、トレンドを生み出して人々を有名にすることができる世界の主要なSNSとなった。

8月末、ティックトックはAppStoreとGooglePlayの両方においてダウンロード数1位を獲得した。同時にティックトックは、トランプ米政権を相手取った訴訟で、月間アクティブユーザー数に関する情報を初めて公開した。同社の2018年1月の全世界における月間アクティブユーザー数は約5500万人だったが、2020年7月までにその数は7億人に達した。ティックトックは2020年8月までに全世界で20億回ダウンロードされた。

フェイスブックのような巨大IT企業に取って代わろうとするティックトックの米国市場での急成長と急速な拡大は、トランプ政権に疑惑を抱かせた。ティックトックを阻止するため、トランプ米大統領は8月初旬、潜在的なスパイ行為のために米国の未成年者の個人を収集しているとして、ティックトックを禁止する大統領令に署名した。なお、まだ完全には禁止されておらず、ティックトックを所有するバイトダンスは資産の一部売却について米国の対米外国投資委員会と交渉している。

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トランプ大統領が禁止すると脅したSNSはティックトックだけではない。ツイッターが、その内容が疑わしく、追加の検証が必要な可能性のある投稿に特別なラベルをつけるようになった後(トランプ大統領の投稿にもラベルが付与された)、トランプ氏は法的分野でSNSに報復することを決めた。

多くの企業が業務のオンライン化にうまく適応できたが、医療や教育などの重要な生活分野のサービスはまだサブスクリプション方式で受けることができず、本人が居合わせる必要がある。またこの1年で私たちはコミュニケーションや娯楽に関する自分たちのニーズをオンラインで満たすことをすでに習得したが、コロナが収束した際には、現実に戻らなければならない。

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