米国での2020年の暴力による死亡者数はまだ完全には判明していないが、米連邦捜査局(FBI)は、2020年初頭から9ヶ月間の殺人発生率の全国平均は、20.9%増加したとの報告書を発表している。また、多くの主要都市では、その割合をはるかに上回っている。同紙によると、ニューヨーク市での殺人事件の件数は40%近く増加し、路上での銃乱射事件の件数も2019年の約2倍に膨れ上がった。殺人事件は大都市以外でも増加しており、FBIの報告書を引用したワシントン・ポストによると、人口1万人未満の小さな町では、2020年初頭から9ヶ月の間において殺人事件が30%以上増加している。
多くの専門家が、殺人事件が増加した主な原因を2つ挙げている。その2つとはパンデミックと街頭で発生した社会的混乱。
パンデミックは多くの警察官の命を奪っており、新型コロナ感染が懸念される中、警察官は人と人との対立に介入することや、人々との交流が少なくなっている。同紙によると、パンデミックにより、報復を防ぐことを目的とした銃撃被害者を対象としたソーシャルプログラムも凍結された。
同紙は、米国ミネアポリスでジョージ・フロイドさんが警察官に殺害された2020年5月末、社会的な混乱が米国を震撼させたと指摘している。この殺害事件をきっかけに警察への信頼が崩れ、米国では犯罪件数が増加するようになったという。