ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、バイデン次期政権は、核兵器は、敵国の抑止力および核攻撃を受けた場合の報復措置としてのみ使用するとの意向を示していると伝えている。さらにバイデン氏は、ロシアとの間で締結され、2月に失効することになっている新戦略兵器削減条約を延長したいとの考えを明らかにした。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙がバイデン政権の閣僚からの情報として伝えるところによれば、国防総省はこの最新ミサイルを、老朽化したミニットマン3に代わるものと考えている。
もしもバイデン氏がこの公約を果たした場合、「通常兵器の攻撃で国の存立が脅かされたときには」核兵器を使用することができるとする現在の軍事ドクトリンを変更することになるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は指摘している。こうした中、米国内では、米国による核抑止の今後をめぐって激しい論争が繰り広げられている。
一方、トランプ政権の政策を支持していた人々は、米国はもうかなり以前から、地上、空中、海上に配備する新たな核ミサイルシステムの開発に真剣に取り組むべきだと主張している。これは「核の三本柱」と呼ばれるもので、これらのプログラムの多くはオバマ政権も支持していたものである。こうした核開発の支持者らは、2018年にトランプ大統領が開発を呼びかけた海上配備型の巡航ミサイルが、ロシアとの協議における大きな鍵になる可能性があるとの見方を示している。また核兵器の役割を軽減すれば、通常兵器の軍備を強化する必要に迫られることになり、その場合も相当の費用がかかると主張している。
一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、核軍縮の支持者らは、連邦予算の赤字が増大していること、またロシアとの新たな協議の再開が待たれることによって、核の近代化を中止する道が開かれる可能性があると考えていると書いている。またこれに関連して、カーネギー財団の国際問題に詳しい専門家は、その場合、米国とロシアがより厳しい核管理体制の確立についての協議を開始するまで、新たな大陸間弾道ミサイルの開発プログラムは中断するのが理性的だろうと述べている。
バイデン次期大統領は、今のところ、今後どのようなスピードで、またどのようなレベルで、核ドクトリンの見直しに関する公約の実現に向けた作業を開始するのかについてまだ明言していないが、この問題をめぐる話し合いはますます加熱しつつあるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は締めくくっている。
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