NBCテレビが公開した弾劾手続きの計画案には次の通り記されている。
彼(トランプ大統領:スプートニク編集部)が率先して行った発言の論理的結果として、議事堂では間もなく不法行為が発生した。トランプ大統領によって唆された集団は議事堂へ不法に侵入し、治安当局の職員に危害を加え、連邦議員らと副大統領を脅し、選挙結果の承認に関する上院と下院の合同集会という憲法で定められた義務を阻止し、暴力行為、致死行為、破壊行為、転覆行為を働いた……トランプ大統領は米国の安全保障と権力機関を大変な危険に晒した。彼は統治における民主主義的体制の一体性に危機をもたらし、平和な権力移行に介入、そして新たな政権発足を妨害した。
下院の民主党議員らはすでに大統領の罷免に関する弾劾手続きを進めている。
次期大統領に選出されたジョー・バイデン氏は地元デラウェア州で開かれた記者会見で、トランプ大統領に対する弾劾を支持するかとの質問を受けたが、「これは議会が決定することだ。私は自分の職務に集中する」と発言して明言を避けた。具体的には、新型コロナウイルス対策、ワクチン供給、経済対策を指摘した。なお、下院のナンシー・ペロシ議長や民主党の主要議員らと近く協議する意向を示した。協議の内容については言及しなかった。
ペロシ議長は大統領が即座に辞任しない場合、副大統領への権力移行を定めた合衆国憲法修正第25条の適用を見当している模様。NBCテレビによると、議会では少なくとも230人の議員が大統領の辞任を要求しているという。そのうち、共和党からも辞任を求める議員が現れている。
これに対し、トランプ大統領に批判的として知られたジョン・ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)やケビン・マッカーシー下院少数党院内総務は大統領の任期が13日しか残されていないことに加え、弾劾手続きや辞任の要求により国内の分断はさらに悪化するとして、反対の声を上げている。
なお、司法省長官は8日のブリーフィングで、議事堂制圧の関連で大統領の弾劾手続きは検討していないとコメントした。
1月6日、現職のトランプ大統領の支持者らはトランプ氏の参加した集会の散会後、米議事堂に突入した。この際に発砲で女性1人が死亡した他、3人が暴力とは直接関係しないものの、騒動の最中に死亡した。議事堂で行われていたジョー・バイデン氏の大統領選における勝利を確定する会議は侵入者らによって数時間にわたって中断された。